東京都小金井市で昨年5月、シンガー・ソングライターの大学生冨田真由さん(21)が刺され、一時重体となった事件で、殺人未遂などの罪に問われた無職岩崎友宏被告(28)の裁判員裁判初公判が20日、東京地裁立川支部(阿部浩巳裁判長)で開かれた。岩崎被告は罪状認否で起訴内容を認めた。

 起訴状などによると、昨年5月21日午後5時ごろ、JR武蔵小金井駅近くのライブハウスが入る建物で、出演予定だった冨田さんの首や胸、背中などをナイフで複数回刺し、殺害しようとしたとされる。

 岩崎被告は上下黒のスーツにネクタイをして出廷。裁判長の本人確認に淡々と応じ、起訴内容について「事実と違うところがありますか」と聞かれると、「いえ、ありません」と小声で答えた。

 検察側が冒頭陳述する間は、弁護士の横で座り、書面に目を落としたままだった。犯行時の様子が詳細に語られたが、表情が変わることはなかった。弁護側は「計画性がなく、突発的な犯行だった」と訴えた。

 午前10時の開廷後、約30分後に休憩に入り、午前11時から検察側の証拠調べが行われた。午前11時48分ごろ、傍聴席から向かって左隅にいる男性とみられる裁判員が、「ウ~」といううめき声を漏らした後に倒れ、裁判は中断。この裁判員は廷内で応急処置を受けた。