東京都議会の経済・港湾委員会が12日に行われ、自民の山崎一輝都議が、築地再開発を「5年以内に着工する」と今年8月に示していた小池百合子知事の方針について、土壌汚染対策を考えておらず、無理が生じていると指摘した。都は築地市場のボーリング調査結果を先月公表し、8カ所で環境基準の最大4・8倍のヒ素を検出していた。

 20年の東京五輪・パラリンピックを終えた後、大会輸送拠点の駐車場を解体し、築地再開発工事に取りかかる予定だが、土壌汚染対策などの予定が明示されていないことを指摘。江戸時代には松平定信の屋敷があったことから、埋蔵文化財調査にも時間がかかるとし「5年以内は難しい」と述べた。

 築地市場の安全性は、利用者が食材を実際に扱っていることで醸成されているにすぎず、今回の調査で科学的根拠が出てきた以上「安心感に根拠がなくなった」とした。豊洲市場では土壌汚染を理由に開場を延期した経緯から「豊洲(の土壌汚染)には厳しく、築地には甘い、小池都政のご都合主義が負の連鎖を生んでいる」と断じた。

 一方、小池氏が事実上率いる都民ファーストの会の栗下善行都議は、70年間1日2リットルの水を飲んでも健康に影響はないという安全基準値について触れ、4・8倍の数値について「微量だ」と指摘。その上で、「ヒ素と聞くと『和歌山毒物カレー事件』の印象があり、風評被害につながり、再開発の価値が変わって来てしまう。微量なことを冷静に考えるべきだ」と主張した。