脇谷流「釣りニケーション」で結束を深める。巨人脇谷亮太内野手(34)が21日、来年2月の宮崎キャンプの休養日に、チームメートを釣りに誘って交流を深める計画を明かした。実は球界屈指の「釣りバカ」で、西武時代には「釣り部」を結成して絆を深めたほど。FA権を行使して3年ぶりに復帰した巨人でも、釣りを契機にチームに溶け込み、まとめあげていく。

 脇谷は大まじめだった。3年ぶりに迎える、巨人での春季キャンプ。休日の過ごし方について「『飲みニケーション』ではなく『釣りニケーション』でいきます。興味がある人は、オフに釣りに誘ってみたい」とのプランを明かした。「釣りをしている時はじっくり考えられるし、ゆっくり話もできる」。水面を見つめ、交流を深めたい考えだ。

 実は、愛車に7本の釣りざおを備え、79センチのスズキを釣り上げた実績を持つ、球界屈指の「釣りバカ」だ。右肘を手術した11年オフ、時間を持て余して「家族も一緒にできるし集中できそう」と何となく釣りを始めた。狙う魚に応じ、えさやさおなどを考え、魚の動きを読む。「研究し、考えるところが野球にも通じる」。釣りの奥深さに魅了された。

 14年にFAで巨人入りした片岡の人的補償で西武に移籍。初のパ・リーグだったが、若手には野球の助言とともに、さりげなく釣りの魅力も伝えた。釣りを通じて自社の社長と友情を深める漫画「釣りバカ日誌」の主人公ハマちゃんのように、脇谷と釣りを介して本音トークを繰り広げる後輩が続出。炭谷や浅村ら10人以上が名を連ねる「釣り部」部長と慕われた。

 3年ぶりに戻った巨人では、野手陣で上から4番目の世代とベテラン組。交流の浅い若手も増えた。「早く溶け込んで、みんなで頑張りたいですから」。釣りを通じ、若手との“世代間の壁”をなくせればとの思いもある。チームを1つにまとめる手助けをすることが、FAで獲得してくれた巨人への恩返しにもなると信じている。

 9月に骨折した右足首を回復させるのが最優先だ。この日も川崎市のジャイアンツ球場でリハビリに励んだ。「90勝してぶっちぎりで優勝したい。そのためなら何でもします」。脇谷は「釣りバカ」であり、「巨人バカ」でもある。【浜本卓也】

 ◆球界の太公望 釣りを得意とする野球人は多い。手先の感覚が鋭い、忍耐強い、研究熱心など諸説ある。V9監督の川上哲治氏が有名で、日刊スポーツ評論家時代はレジャー面「川上哲治のドンと釣ってみよう!」に登場。タイ中心の五目釣りで見事な腕前を披露した。本紙評論家の佐々木主浩氏は、同欄の「大魔神のファイト一釣!」で“名人”を踏襲。大物をたびたび釣り上げている。城島健司氏がソフトバンク時代に築き上げた釣りコミュニティーも健在。釣り番組に出演し、摂津、細川らは磯、沖釣りで釣果を挙げている。