竜の守護神が開幕ピンチに陥った。中日岩瀬仁紀投手(40)が17日、キャンプ2度目となるブルペン投球を実施。16球を投げたところで自ら投球をストップした。昨年8月に痛めた左肘の状態が上がらず今後もスロー調整が続く見込み。開幕まであと37日。プロ17年目で初の開幕メンバー漏れとなってしまうのか。新人時代から続く開幕1軍に黄信号だ。

 背番号13が、こわばった表情でブルペンのマウンドを降りた。「とりあえず久しぶりに投げたんで確認です。ボール自体は良かったけど、まだしっくりこない。フォームがズレる。フォームを崩してまでやらなくてもいい」。キャンプ2度目となるブルペン投球をわずか16球。全力とは言えない投球で、昨年痛めた左肘を気にするそぶりを何度も見せた。

 ペースが一向に上がらない。今キャンプでは1軍投手の“暗黙のルール”である初日ブルペンを1人だけ回避。練習では70メートルほどの遠投はしているが、沖縄初ブルペンの8日も25球を投げて切り上げた。痛みや張りはないが、投球の際に不安が拭えないという。

 守護神のもどかしい状況に谷繁兼任監督も「急にどこかが悪くなったとかじゃない」と故障再発ではないとしながら、「いい方向にはいっていない」と渋い表情だ。

 現状では今後の調整プラン、実戦登板も白紙だ。例年なら2月中旬にフリー打撃、下旬にシート打撃に登板している。それが今キャンプはまだブルペンに2度入っただけ。ペースは明らかに遅い。岩瀬自身が「本音を言ったらもう少し進めたい」と語るほど道筋が定まらない。開幕についても「段階を踏んでやっていくしかない」と話すしかなかった。

 これまで開幕戦には必ず出場選手登録されていた。抑え1年目の04年には開幕3週間前に左足中指を骨折。「もう治ったつもり」と言い聞かせて、無理やり開幕に間に合わせた。昨季も開幕10日前にインフルエンザに感染したが、開幕にはユニホームを着てマウンドに上がった。3月27日阪神との開幕戦(京セラドーム大阪)まで、あと1カ月と10日。通算402セーブの鉄腕が苦境に立たされた。【桝井聡】

 ◆中日岩瀬の経過

 昨年8月9日に左肘の強い張りを訴えて出場選手登録を抹消。10日後には投球練習を再開したが思うように回復せずそのままシーズンが終了。34試合、20セーブ、入団以来15年続けた年間50試合登板を果たせず、連続30セーブも9年で途絶えた。キャンプイン前日の1月31日にはコーチ、トレーナーらが肘の状態をチェックし、初日のブルペン回避が決まった。