愛息のために息の長い選手になる。日本ハムからドラフト5位で指名された室蘭シャークス・瀬川隼郎投手(28=北海)が「50歳現役」を目標に掲げた。30日、室蘭市内の新日鉄住金室蘭製鉄所で指名あいさつを受けた。妻子持ちのオールドルーキーは野球を「死ぬまでやりたい」と宣言。10カ月の長男・壮介(そうすけ)ちゃんが大学を卒業して社会人となるまで、プロで投げ続けることを誓った。

 何を始めるのにも遅いことはない。28歳でドラフト指名された瀬川には、大きな目標がある。「1年でも長く、やりたいです」。理由がある。昨年12月に長男壮介ちゃんが誕生。愛息が大学を卒業し、社会人になるまで少なくとも22年。そのときには50歳になっている。その年齢まで現役を目指すかと問われ「そうですね」と答えた。親として、子どもが大人になるまでプロ野球選手として養う心づもりだ。

 球界には来季でプロ32年目、50歳を迎える中日山本昌の例もある。努力を怠らない姿勢は、同じ左腕の瀬川も同じ。社会人10年目を迎えた今夏、都市対抗で自己最速の148キロをマークした。「力感が好き」とお手本にする巨人杉内のような脱力投法を参考に年々レベルアップ。「これからの自分を見てください」と最高峰の舞台で、さらなる飛躍を期す。

 投げるポジションに、こだわりはない。「(1軍で)投げられれば、どこでもいい」。チームは左腕が手薄な状況。先発、中継ぎとも経験があり、1年目から活躍できる環境はある。栗山監督も「ある意味、一番の即戦力だからね。楽しみだね」とウイークポイントを埋める存在と期待する。

 野球への愛情も、貪欲な姿勢を支える。「野球自体は、死ぬまでやりたいと思っている」。妻子持ちのオールドルーキーには、壮大な夢と使命がある。あこがれ続けた世界で、家族のために息の長い選手になる。【木下大輔】