世界最大の米国プロレス団体WWEは22日、都内で会見を開き、新日本を退団した中邑真輔(35)の入団を発表した。中邑は1月いっぱいで新日本を退団。2月上旬に米国へ渡り、WWEと契約を交わした。同団体傘下のNXTからスタートし、4月1日(日本時間2日)のデビュー戦へ向け、3月下旬にもNXTに合流する。

 日本からプロレス界の「メジャーリーガー」が誕生した。東京・六本木のハードロックカフェ東京で行われた入団会見。中邑を紹介したWWEアジア・パシフィックGMクリス・マーシュ氏は「WWEは世界の一流の人物の中でも、特に一流の人材を特定し契約する。ドジャースが、前田健太選手を獲得するような気持ちだ」と最大限の賛辞を中邑に贈った。

 現役では、ノアの元KENTA改めヒデオ・イタミ、ASUKA以来3人目の日本人レスラーとなった中邑は「このたびより、戦いの舞台をWWEに置くことにしました。これまで培ってきた中邑を、より世界でパフォーマンスできればと思います」と決意を語った。1月いっぱいで新日本を退団し、3日に米国入り。ピッツバーグでメディカルチェックを受け、その後オーランドのWWEパフォーマンスセンターを見学。米国滞在中に、正式契約を結んだ。

 日本のトップから世界最高峰へ舞台は変わるが、新天地でも自分流を貫く。新日本でも技、パフォーマンスにおいて独自の境地を築いてきた。タレント・クリエーティブ・ライブイベント部門の副社長トリプルHにも「好きにやっていい」とお墨付きをもらった。リングネームについても「希望としてはシンスケ・ナカムラかシンスケ、ナカムラを使いたい。コスチュームも自分が着たいものをつくってリングに上がる」と、日本のナカムラを世界にアピールしていく。

 今後は、4月1日に米ダラスで開催のNXTテイクオーバー大会でのデビューに備え、3月下旬にもWWEパフォーマンスセンターに入る。サミ・ゼインとのデビュー戦は、全世界に生中継される。「最高のパフォーマンスを見せるには非常にいい相手」と、日本の中邑から世界のナカムラへのテークオフを今から楽しみにしている。【桝田朗】

 ◆中邑真輔(なかむら・しんすけ)1980年(昭55)2月24日生まれ、京都府京丹後市出身。青学大レスリング部から02年に新日本入団。同年8月にデビュー。03年12月にデビュー最速、史上最年少でIWGPヘビー級王者。得意技は「ボマイェ」。188センチ、103キロ。

<WWEアラカルト>

 ◆創設 ビンス・マクマホンが1963年に興したWWWFが前身。その後WWFに改称し、02年にWWEに。

 ◆売り上げ 14年の売り上げは約759億円。そのうち約36%に当たる270億円が放送権収入。テレビ番組を毎週1400万人の米国人が視聴。世界170カ国以上の国で、35以上の言語で放送されている。米ケーブルテレビの視聴率は平均3・5%で毎週トップ5に入り、MLB、NBAと肩を並べる。

 ◆選手数約150人 傘下のNXTを含め約120~150人の選手が所属。このうち「ロースター」と呼ばれるトップ選手は20~30人。トップスター、シナの年収は10億円を超すといわれる。毎週月曜日の3時間生番組「ロー」、同木曜日の「スマックダウン」、水曜日にNXTが放送。

 ◆年間329試合 WWEはノーオフシーズンといわれ、年間休みなく試合をこなす。15年は329試合を行い、そのうち海外が16カ国で56試合。入場者数は200万人。