プロボクシングの16年度年間表彰式が10日、都内のホテルで開かれ、最優秀選手には3年ぶり2度目となるWBC世界バンタム級王者山中慎介(34=帝拳)が選出された。昨年9月にアンセルモ・モレノ(パナマ)との再戦に7回TKO勝ちした11度目の防衛戦が年間最高試合も受賞し、3年ぶり3度目のKO賞と合わせた「3冠」を達成。78、79年の具志堅用高、89年の高橋ナオト、14年の井上尚弥に続き史上4人目の快挙となった。

 「また次の試合に勢いがつきましたね」。表彰式後にはジムに直行した山中は、3月2日に同級6位カルロス・カールソン(メキシコ)を迎えての12度目の防衛戦が迫る。昨年9月の試合は倒し、倒されの展開だっただけに、「目標は圧勝で勝って(来年)MVPをもらえる試合」と祝福の嵐から気持ちを切り替えた。

 昨年で引退した元3階級王者長谷川穂積氏からは「記録を達成して、ボクシング界を盛り上げてほしい」と期待された。具志堅の持つ日本記録の世界戦13連続防衛は射程圏にある。在位期間は5年3カ月。同じベルトを丸5年保持した長谷川氏の記録も超えた。頼もしい後輩は、先人から先導役を託された。【阿部健吾】