吉永小百合(67)がキスシーン秘話を明かした。吉永が主演した映画「北のカナリアたち」(阪本順治監督、11月3日公開)の完成披露会見と試写会が3日、東京国際フォーラムで行われた。映画の後半、仲村トオル(47)とのキスシーンがある。時間にして数秒、1シーンのみだが、吉永は「気恥ずかしくて、不思議な思いに駆られました」とほおを赤らめながら振り返った。

 吉永は北海道の離島の小学校教師役。病を抱えた夫(柴田恭兵)との関係に悩む中、仲村演じる警官に心がひかれていく。離島を離れることになった警官がバス停で立っているところに駆け込み、キスを交わす。カメラは2人の表情を斜めから撮影した。一瞬だが唇が重ね合う様子がはっきりと映しだされる。

 吉永にとってラブシーンは、05年に渡辺謙(52)と共演した主演映画「北の零年」以来7年ぶり。吉永はこの日、今回の貴重なキスシーンは、阪本監督とのディスカッションの中から生まれたことを明かした。

 吉永

 仲村さんとの心の通い合いが、どういうものなんだろうと監督とずいぶんお話しした。見る方にどう受け止めていただくかを委ねたらいいのではと思っていたら、監督から「キスシーンにしましょう」って言われ、私も「はい」と言いました。

 当初キスシーンは全身を映しだす予定だったが、阪本監督と話し合って、アップに変わった。吉永は「監督の度胸の良さにびっくりしました」と笑った。

 キスシーン撮影後、仲村がロケ現場の礼文島から東京に戻る時のことを振り返った。「普通なら『お疲れさまです』って言うんですけど、気恥ずかしくてトオルさんのところに行かないで、そのまま。あのシーンの余韻があって」。日本映画に名キスシーンが誕生した。【村上幸将】