北海道コンサドーレ札幌が難敵FC東京を撃破し、ホーム2連勝を飾った。前半8分に先制されたが、同42分にFWジュリーニョ、後半15分にFW都倉賢(ともに30)の2トップが決め、2-1で今季初の逆転勝利を挙げた。東京戦勝利は、前回昇格を決めた11年12月3日のJ2最終戦(2-1)以来6シーズンぶり、J1では初白星となった。チームはホームでは今季3戦2勝1分け負けなし、通算成績を2勝1分け3敗とし、勝ち点7で14位に浮上した。

 魂の叫びを、電波に乗せた。「深井、頑張れよ!」。勝ち越しゴールを決めた札幌FW都倉は、8本の指を掲げ「8番、8番」と叫びながら、中継用のカメラに迫った。背番号8。前節甲府戦(中銀スタ)で選手生命が危ぶまれるほどの大ケガを負ったMF深井へ。熱狂に揺れる、札幌ドーム。たぎる思いが、熱いパフォーマンスにつながった。

 同点で迎えた後半14分、兵藤からの短いパスが、ゴール前で完全にフリーだった都倉に渡った。ワントラップ後、落ち着いてゴール左隅へ。「ピッチで戦える人が責任を持って力を出す。そんな思いが、これからリハビリを迎える深井にも届いたかな」。両脚をつり、試合終了のホイッスルを待たずにピッチを去ったヒーローは、笑顔でお立ち台に戻った。

 今月6日、左ひざを手術した深井が「引退という人たちを見返すためにも絶対にはい上がります」と、ツイッターでつぶやいた。心が揺さぶられた。「本人が一番つらいはず。あいつ、あまり自分の思いを声に出すタイプじゃないので…。内なるものを感じた」と都倉。体力の限界まで、走り続けた。

 J1では、対東京9戦目にして、ようやく初勝利。相手を大きく上回る20本のシュートを放ち、A代表経験者5人が先発に並ぶ強敵を飲み込んだ。昨季、圧倒的な勝率を誇った本拠地札幌ドームで、今季も3戦負けなし。「昨年から積み重ねてきた自信。必ず逆転できると信じていた」と都倉。本拠地での不敗神話が、札幌のJ1残留を後押しする。【中島宙恵】