ブーイングにもジーコは崩れない/アジア杯
<アジア杯:日本0−0イラン>◇12日目◇28日◇中国・重慶◇1次リーグD組
【重慶(中国)28日=田 誠、西尾雅治、盧載鎭】日本代表の最強3バックがアジアの強豪への壁になる。強豪イランの猛攻をDF中沢佑二(26=横浜)を中心にはね返し、シャットアウト。引き分けでもD組1位通過の日本は終了間際に、DFラインでボールをまわして時間を稼ぐ冷静な状況判断も見せ0−0に持ち込んだ。中沢、宮本、田中の3バックで1次リーグ3戦1失点。31日決勝トーナメント1回戦でヨルダンと対戦する日本は、進化する3バックでアジア杯連覇へと突き進む。
5万2000人の観衆から痛烈なブーイングが起こる。紙飛行機やゴミが投げつけられた。0−0の後半38分すぎ。重慶ではヒール役の日本が、DFラインでゆっくりとボールを交換しあう。だが、引き分けでも2位通過のイランも引いたまま、ボールを取りにこない。ロスタイム3分もそのまま攻めず、ブーイングを楽しむように1位通過決定を告げるホイッスルを聞いた。
「僕らはアウエーですから。向こうが来なくなった時点で攻めなくていいなと思った。W杯予選を想定した場合には非常にいい経験」とDF中沢が涼しげに言った。日本のサッカーの歴史を振り返れば、終盤の時間稼ぎをされてきたのは日本の方だった。それが、今では逆の立場になった。川淵キャプテンも「慌てて前に出すなよと思って見ていたよ。日本がああいうことするのは初めてじゃないかな。すごくよかった」と頼もしげに見守っていた。ジーコ監督も「ルール的にまったく違反じゃない」。引き分けを狙い、確実に実行したところに、日本の成長があった。
ジーコジャパンが誇る最強3バックが、イランの前に立ちはだかった。試合開始から攻め立てられても、ジタバタしない。後半もほとんど防戦にまわったが、26分の連続攻撃からの右クロスをDF中沢が頭ではね返す。FWダエイを自由にさせず、堅守からカウンターを狙う巧妙な戦い方で、体力が消耗したイランから前に攻める気持ちを奪っていった。主将宮本も冷静にDFラインを統率。負傷した坪井に代わって先発4試合目の田中も粘り強さを発揮した。
1次リーグ3戦1失点。ジーコ監督も3バックには全幅の信頼を寄せている。「1戦目からきちんとした守りができている。技術うんぬんより意思疎通ができている」。その手応えは、選手も同じだ。「いい落ち着きが出てきた。みんなが第3者的な判断でプレーできるようになれれば」とDF宮本。試合ごとに進化する3バックが、アジア杯連覇を近づける。【西尾雅治】
[2004/7/29/10:34 紙面から]
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