平昌(ピョンチャン)パラリンピックのメダリスト凱旋(がいせん)トークショーが20日、都内の日本財団ビルで行われた。冬季1大会日本選手最多の5つのメダルを獲得したアルペンスキー女子の村岡桃佳(21=早大)、同男子の森井大輝(37=トヨタ自動車)、ノルディックスキー距離の新田佳浩(37=日立ソリューションズ)、スノーボードの成田緑夢(24=近畿医療専門学校)が出演。集まったファンの前で大会を振り返りつつ、今後の目標などを語り合った。

 滑降銀メダルの森井が口火を切った。5大会連続出場で4大会続けて銀メダル止まりだったが「また、銀メダルを取ってしまいました。だから、次の機会も銀を目指そうと思っています」と、自虐ネタで会場の笑いを誘う。10キロクラシカルで2大会ぶり3個目の金メダルを手にした新田が「森井君は出るたびに毎回メダルを取っているけど、僕は1回おきなので次は取れないことにになる」と応じた。同じ37歳、冬季パラアスリートのレジェンドの軽妙な掛け合いに成田、村岡も笑いをこらえ切れなかった。

 村岡は5つめのメダルを獲得した18日の深夜、選手村での“恐怖体験”を明かした。「夜の11時ごろ、食事を終えて部屋に戻ったら成田さん、山本さん(16年リオ大会走り幅跳び銀メダル、スノーボード代表)が待っていて、『ちょっと来て』と声を掛けられました。何をされるんだろうと、正直怖かったです」。成田の部屋に“連行”されたが、そこには新田と森井の姿も。成田が動画サイトのユーチューブに投稿する「メダリスト座談会」の撮影のためだったという。「それまであまりお話もしたことがなかったので…。でも、それ以降は気軽にお話しできるようになりました」と村岡は笑った。

 トークが今後の目標に移ると成田は「今はパラリンピックが終わったばかりなので、喜びに浸りたい。体をリフレッシュさせて、また新たなチャレンジに全力を尽くしていきます」。村岡は「今回はいい成績を残しすぎてしまったので、次回は気持ちの作り方からしっかり準備していきたい。ただ、金メダルは1つだけなので、まだまだ上を目指す気持ちを忘れたくない」と挑戦者の気持ちで22年北京大会に向かう決意を明かした。

 森井はあらためて北京大会を目指すことを明言した上で「今回、男子アルペンチームは僕のメダル1つに終わった。でも、日本は技術的には世界に負けていない。もう1度、強い日本をみんなでつくり上げたい」と日本チーム再建を約束。「僕はまず銀メダルを取って話題をつくり、その後に金メダルを」と悲願にチャレンジすることを誓った。新田は「スキーはやめません。ただこの4年間、倒れるくらいの厳しい練習をしてきて、もう嫌だという気持ちで平昌に臨んだ。しばらく休んで、もう1度同じ練習をやりたいと思えればやると思いますが…」と4年後へ含みを持たせていた。