陸上のダイヤモンドリーグ第10戦のアニバーサリーゲームズが23、24日の両日、ロンドン五輪が開催されたエリザベス女王オリンピックパーク・スタジアムで行われる。

 最大の注目は、200メートルに出場するウサイン・ボルト(29=ジャマイカ)がどこまで復調しているか。今大会の結果次第では最悪、リオ五輪代表を取り消される可能性もある。

 ボルトは五輪代表選考会を兼ねたジャマイカ選手権の100メートル決勝(7月1日)を大腿裏の故障で棄権、200メートルも欠場した。ジャマイカ陸連の基準では、同選手権の上位3人が原則的に代表に決まるが、実績ある選手がけがで棄権した場合は救済できる条項があり、ボルトら3選手に適用された。

 だが、その後のレースで、五輪本番でも走れることを証明する必要があるとされている。選ぶ側の主観的な判断になるが、今大会で惨敗したり故障を再発したりすれば、代表が取り消されることもないとは言い切れない。

 ボルトはイギリス陸連のツイッターに登場し、「ロンドンで走るので見に来てほしい」とアピール。復調へ自信を見せている。

 ボルトが19秒8よりもタイムが悪ければ、1週間前のダイヤモンドリーグ・モナコ大会優勝のアロンゾ・エドワード(26=パナマ)と競り合いになる。

 女子100メートル出場のシェリー・アン・フレイザー=プライス(29=ジャマイカ)も注目される。ボルトが100メートルと200メートルで五輪連続2冠なら、フレイザー=プライスも100メートルで五輪2連覇中。トラック種目で3連勝を達成すれば五輪史上初の快挙となる。

 だが、今季のフレイザー=プライスは調子が上がっていない。5月のダイヤモンドリーグ・ユージーン大会は8位で、7月1日のジャマイカ選手権も2位と敗れた。五輪や世界陸上など大舞台での勝負強さは折り紙付き。ロンドンでは10秒8台を出すか、得意のスタートダッシュで周囲を圧倒するなどして、金メダル争いができる力が戻っていることを示したい。

 記録的には、男子三段跳びのクリスチャン・テイラー(26=アメリカ)への期待が大きい。昨年の北京世界陸上で18メートル21を跳び、20世紀のレジェンド、ジョナサン・エドワーズ(イギリス)の世界記録に8センチと迫っている。エドワーズのお膝元で世界記録を更新してみせるか。

 地元イギリス勢では、五輪連続2冠(5000メートル&1万メートル)が期待されているモハメッド・ファラー(33)が、5000メートルに出場。武器であるラストスパートを地元観衆に見せたい。

 日本勢では鎧坂哲哉(26=旭化成)が5000メートルにエントリーした。日本選手権の大敗(5000メートル、1万メートルとも16位)からどう立て直してくるかが注目される。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各種目は年間7大会で実施され、各大会のポイント(1位10点~6位1点)合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。