競泳に高校生旋風が巻き起こった。国体の東京都代表選考会が10日、東京辰巳国際水泳場で行われ、リオデジャネイロ五輪代表で東京・淑徳巣鴨高2年の長谷川涼香(16=東京ドーム)が女子200メートルバタフライで今季日本最高の2分6秒00をマーク。昨年世界選手権では銀メダル相当の好タイムで、一躍メダル候補に浮上した。三重選手権では同高1年の池江璃花子(16=ルネサンス亀戸)が50メートルバタフライで4つ目の日本記録を樹立。本番まで1カ月を切り、若手の勢いが増してきた。

 長谷川の快挙から数時間後。東京から約300キロ離れた三重で知らせを聞いた池江は「負けてられない」と発奮した。前日9日に5レースをこなし疲労はあったが「(50バタで)日本新を出したいと思っていた。だんだん気持ちが高まっていった」。飛び込むと、自然と体が動く。前半25メートルを11秒5のハイペースで行き、そのまま従来の記録を0秒45上回る25秒50の日本新でゴールした。長谷川とはレース前にLINEでやりとりし、「メダル圏内すごいね、と送ったら、璃花子には勝てないよ、と返ってきた。距離種目は違うけど切磋琢磨(せっさたくま)しています」と同年代のライバルに感謝した。

 成長は止まらない。これで昨年10月に100メートルバタフライの日本新記録を樹立以来9カ月間で4種目6度目の日本記録更新となった。4日に16歳になったばかりの池江は「これからの競泳人生の中でもっとたくさん記録を出したい」と屈託のない笑みを浮かべた。

 リオ五輪では競泳陣最多7種目に出場する。中でも世界のトップに最も近いのが100メートルバタ。決勝に進むため掲げる目標は56秒台。そのために今大会で非五輪種目ながら50メートルで25秒台を出すのが狙いだった。目標を達成し「いい形で終われてよかった」と最終実戦を満面の笑みで終えた。【高場泉穂】

 ◆池江璃花子(いけえ・りかこ)2000年(平12)7月4日、東京都生まれ。兄と姉の影響で3歳10カ月から水泳を始める。昨夏の世界選手権は、中学生として14年ぶりに代表入り。4月の日本選手権では100メートルバタフライとリレーなどの五輪代表権を獲得。五輪では史上最多7種目に出場。50、100メートル自由形、50、100メートルバタフライの日本記録保持者。夢は東京五輪金メダル。170センチ、54キロ。

 ◆10代メダリスト

 夏季五輪の個人種目での10代のメダリストは26人。日本最年少はバルセロナ五輪競泳女子平泳ぎ金メダルの岩崎恭子の14歳6日(岩崎は団体競技を含めても最年少)。なお個人種目の10代金メダリスト男女7人はすべて競泳。