重量挙げ女子の三宅宏実(30=いちご)が2日、悲壮な決意を口にした。

 会場となるリオ中央体育館練習場での公開練習を終えた三宅は、腰の痛みが広がっていることを明かし「厳しい状況」と説明。それでも、前回大会の銀メダリストは「一発に賭けたい」と、奇跡を信じて話した。

 腰の状態は深刻だ。この日の練習で挙げたのはスナッチ80キロにジャーク100キロ。自身の持つ日本記録に7キロと10キロ足りない。父の義行監督は「痛みが出ると腰が引けてしまう。決して調子は悪くないし、技術的にも問題ないから、痛みさえなければ」と娘の気持ちを代弁した。「一発に賭けるとは、3本目(の最終試技)に勝負するという意味でしょう。私も同じ気持ちです」と話した。

 親子で話し合った結果、この日の練習後に競技人生で初めて痛み止めを打つことを決断。「それで痛みがとれれば戦える。とれなくても戦うしかない。前向きに、逃げることなく、正面から堂々と戦うしかない」と、娘の体を心配しながら苦しい思いを口にした。

 この日も集まった報道陣に「みなさん、時差ぼけは大丈夫ですか」と声をかけるなど、常に周囲を気遣ってきた。「応援してくれる人たちのために」と頑張り続けてきた。しかし、4度目の五輪は違った。「自分の思うようにやらせてもらう。もう、開き直ってやりたい」と、三宅らしくない言葉で決意を語った。

 6日午後7時(日本時間7日午前7時)の競技開始まで、この日以上の重量を挙げることを封印。本番で一発勝負に出る大ばくちを決めている。「何があるか分からないのが五輪。回りのことは気にせず、精いっぱいやります」。女子の重量挙げを引っ張ってきた三宅は、心配そうに見つめる報道陣に対して「やりますから、大丈夫ですよ」。最悪の状態で迎える4度目の五輪を前に、努めて明るく振る舞っていた。