完全復活だ! 中島孝平(38=福井)がイン逃げで10年12月住之江グランプリ以来、通算2度目のSG優勝を決めた。好素性と評判が高い17号機を駆って初日から力強い動きを披露。優勝戦も節一パワーを信じて押し切った。新田雄史が2着、白井英治が接戦に競り勝ち3着に粘り込んだ。今回の優勝で獲得賞金ランクは1位に浮上。15年以来となる年末のグランプリ出場へ大きく前進した。

 普段は寡黙なレース職人が、好相性の尼崎、しかもファンが選ぶ大舞台で王道Vを決めた。

 進入は枠なりの3対3。タイミングに関係なく全速でスタートを行こうと決めていたものの、見え方が早いと途中でレバーを放った。スリットを過ぎると、カドから猛然と仕掛けてきた吉川元浩の姿。一瞬「やばい」と焦った。しかし、差しに切り替えるのが分かると、冷静に1Mを先マイ。他艇に差されていないことを確認して、ゴールへと駆け抜けた。

 パートナーの17号機は前検から好ムード。ペラ調整には手を付けずにノーハンマーを通した。序盤良かった伸びだけでなく、日に日に手応えを感じ取るようになった。ペラ制度が変更してからでは、一番の仕上がりだった。4日目8Rで大外から2着になった時、優勝を意識した。

 SG優勝は2回目。前回のグランプリは2枠だったこともあり、それほど緊張しなかった。しかし、今回は予選トップ通過からの優勝戦1枠。さすがに緊張は隠せなかった。プレッシャーをはね返しての圧勝劇に「グランプリの時よりもうれしい。自信になりました」と笑みがこぼれた。

 獲得賞金額はトップに浮上。年末のグランプリ出場も視野に入ったが、決して浮かれることはない。「グランプリはあくまで最終目標。これからも1戦1戦を大事に走っていきたい」。控えめながらも、力強く思いを巡らせた。【工藤浩伸】

 ◆中島孝平(なかじま・こうへい)1979年(昭54)11月8日、福井県坂井市生まれ。99年5月、84期生として三国でデビュー。初優勝は01年8月の江戸川タイトル戦。G1は6回優勝。SGは10年12月のグランプリ以来7年半ぶり2回目の優勝。主な同期は笠原亮、古結宏。160センチ、50キロ、血液型AB。