<W杯アジア最終予選:日本2-1サウジアラビア>◇B組◇15日◇埼玉

 日本人のモノ作りは緻密で正確。それは世界的にも認められた伝統工芸のようなもの。サッカーでも日本の特長は細かいパスや正確な技術。その武器を受け入れずに縦パス中心のカウンターを掲げてきたハリルホジッチ監督が、大きな決断を下した。多彩なビルドアップからパスワークを存分に駆使、シュートで終わらせる。監督が日本人を認め、選手も意気に感じた。こぼれ球への対応、素早い寄せを含め、すべてにおいて質が高かった。

 この試合は、結果が出ない監督が荒療治に出たという見方もできるが、大迫ら次世代を投入するのも勇気が必要だったはず。それでも決断し、途中出場に回った本田や岡崎らベテランにも危機感を持たせた。戦術的にも選手起用でも監督の采配が当たった。

 より最高級のモノ作りを求めるなら、例えば大迫へ集めたボールは、大迫の思惑と20、30センチズレる場面も見受けられた。日本人の“おもてなし精神”を発揮するなら、パスの出し手はFWがより気持ちよくシュートを打てる究極のパスを目指してほしい。それが試合を決める2点目、3点目へとつながっていく。(日刊スポーツ評論家)