独創的なデザインで総工費2520億円、完成後も膨大なメンテナンス料がかかることなどが問題となり、計画が白紙となった新国立競技場。

 名古屋グランパスにも新スタジアム建設の計画はあるが、順調に進んでいる! とはいえない。

 現在は豊田スタジアム(愛知・豊田市)とパロマ瑞穂スタジアム(名古屋市)の2つをホームスタジアムに公式戦を戦っている。

 なぜ新スタジアムが必要なのか?

 豊田スタジアムは名古屋駅から電車とバスを乗り継いで1時間超とやや遠い。パロマ瑞穂スタジアムは1941年開場と少し古い。言い換えると歴史あるスタジアムなのだが。

 クラブ関係者は「グランパスの発展もそうだが、サッカーを本当の国民スポーツにしたいと思っている。そのためには、とにかく女性ファンに来てもらうことも大事」と話す。近年、プロ野球の「カープ女子」や相撲の「スー女」などが話題を集めている。女性には、30年間ジャニーズ一筋“これと決めたらこれ”というような安定感があり、その情報発信力は男性とは比べものにならないという。ここに女性→発信→集客(男女サポーター)→サッカー地位向上という構図が浮かんでくる。どのスポーツも生き残るために女性集客は必須のようだ。

 そこで名古屋の場合、ネックになるのが、パロマ瑞穂スタジアムのトイレ問題。「瑞穂のトイレは汚くはないが、少々古い。私は男性なので男性用しか知らないが、女性サポーターから、もう少しなんとかならないか、と問い合わせをもらうこともあります」と前述の関係者は明かす。

 集客の第1歩はトイレから-。新スタジアムができればこの問題は解消される。建設地についても、いろいろ議論され、候補としては、白川公園、鶴舞公園、名城公園などが挙がっている。白川公園は市内中心地の栄や伏見に近く、立地は最高だ。昨年のホーム平均入場者数約1万7千人を上回ることは間違いないだろう。試合前後、繁華街での経済的な相乗効果も期待できる。

 とはいっても、新スタジアム構想は盛り上がっては消え…、を繰り返すばかりで、立地からトイレまで一筋縄ではいかないのが現実である。

 「新しいスタジアムで観戦したい」「いまのままでいい」「勝てばサポーターは集まるんだよ」。意見はいろいろあるが、みなさんはどう思いますか? 【上田博志】


 ◆上田博志(うえだ・ひろし)1970年(昭45)6月22日、大阪府生まれ。日刊スポーツでは制作部から写真部を経て、14年から報道部に配属され名古屋に転勤。カメラマンも兼務しながらサッカーなど一般スポーツを担当。