Jリーグがいよいよ佳境を迎えます。J1の優勝、残留争い。J2も来季のJ1昇格をかけた戦いが繰り広げられています。

 J2で現在1位の札幌はほぼ昇格を手中に収めていますが、自動昇格(2位以内)の残り1枠を争う戦いは混戦状態です。私が担当する清水は23日のホーム北九州戦で勝利し、今季初めて3位に浮上。今季も残り5試合となり、自動昇格を争うライバルの2位松本との勝ち点差は「3」に縮まりました。ただ、4位C大阪との勝ち点差は「1」。1試合の結果で順位が入れ替わる状況です。

 そこで、過去のデータをもとに、清水が自動昇格できる可能性を探ってみました。

 テーマは「残り5戦」です。99年にJ2が創設されて以降、残り5試合の時点で3位だったチームが自動昇格できたのは、03年広島と06年柏の2チームのみ(3位までが自動昇格できた09、10、11年を除く)。4位のチームが自動昇格できた例は1度もありません。データを見ても、成績上位のチームが断然有利だということが分かります。

 03年の広島は残り5試合で3勝1分け1敗。06年の柏は3勝2敗でした。当時と今では、勝ち点差や対戦チームは異なりますが、逆転での自動昇格を果たすためには最低でも3勝以上がほしいところです。

 過去3クラブ(大分、山形、徳島)をJ1に昇格させた小林伸二監督(56)は「最後まで何が起こるか分からないのがJ2。我々は勝ち続けるしかない」と一戦必勝で臨む覚悟でいます。チームは北九州戦の勝利で今季初の4連勝。FW大前元紀主将(26)も「勝ち続けることが初めて何かが起こる。チームの雰囲気はすごくいいので、勢いを止めずに戦いたい」と言葉に力を込めました。

 追う立場と追われる立場-。泣いても笑っても、残り5試合、450分後には全てが決まります。いずれにせよ、1年でのJ1復帰を目指す清水にとって「逆転自動昇格」は難しいミッション。敗戦が許されない状況下で、名門クラブの真価が問われています。


 ◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)でプレー。08年入社。担当は11、12年にJ2磐田、13、14年にアマチュアサッカー、15年から清水。