18年W杯ロシア大会アジア最終予選の後半戦2試合が終わった。これまで7試合。いきなり黒星発進の紆余(うよ)曲折はあったが、わずかながら本大会への道筋が見えてきた。

 個人的に、W杯出場へのヤマ場だと思っていた3月の2試合を連勝で抜けたことで、少し気が早いかもしれないが、1年後のW杯メンバー23人を考えてみた。ハリルホジッチ監督(64)の基本戦術は4-2-1-3。メンバー23人は、普通に考えてGK3人を除けば、各ポジション2人ずつで、けが人や出場停止などを考慮し、複数ポジションをこなす選手が好まれる。

 GK3人は川島、西川、東口。センターバックは吉田、森重、植田、昌子。両サイドバックは長友と酒井高、酒井宏、槙野。ダブルボランチは長谷部、今野、山口、柏木。トップ下は香川と清武。3トップの中央は岡崎と大迫。左は原口と宇佐美。右は久保と本田で23人だ。

 1年後の状況次第で多少の入れ替えがあったとしても、おそらく私の予想が大きく外れることはないだろう。これは、サッカーファンなら誰でも予想できること。この予想から流動的なのが6人。植田、昌子、槙野、柏木、岡崎、そして本田だ。

 気になるのが本田のポジション。最後の15分勝負に有効な浅野がいるし、複数ポジションをこなせる武藤もいる。ドリブル突破が魅力的な斎藤もいるし、得点を要するポジションだけに、来年ブレークする選手が現れることもある。

 1年前まで本田はチームの柱として外せない選手だった。極端な言い方をすれば、日本代表は本田のチームだった。しかし今は、本田がベンチに座っていてもあまり違和感がない。さらに1年後、そのベンチからいなくなったとしても不思議に思わないかもしれない。

 7年前のW杯南アフリカ大会がオーバーラップする。当時の日本代表は中村俊輔のチームだった。しかし大会直前に体調を崩し、若手にポジションを奪われた。大会後、代表引退を宣言した俊輔は「やはり代表の第一線で活躍するには、複数のポジションをこなさないと生き残れない」と寂しそうに話していた。

 俊輔からポジションを奪った当時の若手は本田である。その本田が、3月の2試合では、7年間守り続けた代表レギュラーの座を久保に奪われた。タイ戦後、ハリルホジッチ監督は本田を呼び寄せ「もっとチームで試合に出られるように頑張れ」と話し掛けたという。

 本田の全盛期をみてきた私としては、来年のロシア大会で、最後の一花を咲かせて、代表引退の花道にしてほしいと思っている。しかし、今の環境では代表に生き残るのは難しい。本人が必死に頑張っても、試合に出られない可能性が高いからだ。日本代表のためにも、欧州のシーズンが終わる今夏には、大きな決断をしてほしい。【盧載鎭】

 ◆盧載鎭(ノ・ゼジン)1968年9月8日、韓国・ソウル生まれ。約20年間サッカー担当。今でも、最も偉大な日本代表選手は中村俊輔と思っている。2児のパパで、最近、フェンシングに興味津々。