<全国高校サッカー宮城県大会:東北2-0利府>◇決勝◇8日◇ユアテックスタジアム仙台

 東北が2-0で利府を下し、7年ぶり6度目の選手権切符を手にした。県大会4試合を、すべて完封勝ち。大森貞夫監督(56)が鍛え上げた堅守で、この日もゴールマウスに鍵をかけた。攻めては「点を取るならセットプレーしかない」(同監督)という読み通り、CKから2得点。泥臭さがウリの東北が、00年度大会のベスト8以来の旋風を巻き起こす。

 強固な守備があれば、全国へ行ける-。そんな指揮官の信念を、選手がピッチで具現した。主将のDF門間拓巳(3年)中心の3バックだけでなく、全員が体を投げ打ち利府の攻撃を封じた。打たれたシュートはチームより3本多い9本。だが、しっかりとシュートコースを消し、危ない場面は、ほとんどつくらせなかった。門間は「県大会を無失点でいけたのは自信になる」と笑顔をはじけさせた。

 満面の笑みで胴上げされた大森監督は、守備重視のサッカーを貫いたイレブンを誇りに思っていた。

 大森監督

 ベガルタをまねて、かっこいいサッカーをやりたがる。でも技術がないとできない。下手でも守備なら、精神的な部分で何とかできる。若い人がやりたがらない古くさいサッカーだけど、能力に応じて泥臭くやってくれた。

 2時間の練習のほとんどが、守備強化。DF斎藤一輝(3年)は「完封できたことの方がうれしい」と、自らの先制ゴールは差し置いた。守備に重きを置くため「セットでしか点を取れない」という指揮官は、攻撃練習でセットプレーだけは重視。この日の前半38分の1点目は、CKに斎藤が頭で合わせ、後半1分のMF嶺岸佳介(2年)の追加点も、CKのこぼれ球を決めたもの。指揮官の狙い通りの展開だった。

 この日は、部内の暴力事件で活動を自粛中の野球部もスタンドで応援。大森監督は「明るいニュースがなかったので、頑張って(東北の)名前を出したいと思ってプレッシャーだった」と明かした。全国の舞台でも同監督は「地道にやります」とスタイルは崩さない。泥臭いサッカーで「東北」の名前を、全国にとどろかすつもりだ。【山崎安昭】