<アジア杯予選:日本2-1イエメン>◇20日◇1次リーグ◇A組◇熊本KKウイング

 岡田ジャパンが、不安視されていた守備でもろさを露呈した。世界ランク153位と格下のイエメンに、1点をリードした後半2分にセットプレーから痛恨の失点を喫した。岡田武史監督(52)は勝ち点3を取ったことを評価したが、左ひざを手術したDF闘莉王の回復が遅れ、指宿合宿中にDF阿部、森重も故障で離脱しており、2月11日のW杯アジア最終予選オーストラリア戦(日産ス)へ暗雲が立ちこめた。

 あまりにふがいない失点シーンだった。後半2分、MFアルサシのFKへの対応が遅れた。後方から飛び込んだDFファリドに、ほぼフリーで決められた。岡田監督が指宿合宿中に言い続けた、ゴール前で人を捕まえる守備ができなかった。マークが遅れたMF青木は「唯一と言っていいチャンスにやられてしまった」と猛省。シュートを27本で2点しか取れず、イエメンにはわずか1本のシュートで失点した。

 試合後、岡田監督は選手をかばった。「DFに大きなミスはない。セットプレーは、その前のMF香川の取られ方が悪かったことに尽きる」と強調した。一方で「これが国際試合。経験のない選手は厳しさが分かっただろうし、それで勝ち点3も取れた」とも。ただ最後まで笑顔はなく、言葉とは裏腹の悔しさが顔ににじんでいた。

 イエメンだから1失点で済んだが、これが高さ、パワーともアジアレベルを超えるオーストラリアだったら…。センターバックのレギュラーの闘莉王は、昨年手術した左ひざの筋力が戻らず、岡田監督も招集は難しいと明言している。さらに左ひざに炎症を起こしている阿部と、左足関節をねんざした森重を、早期に呼び戻せるかも微妙。22日にDF中沢が合流予定とはいえ、格下相手の失点は今後に大きな不安を残した。

 主力不在で、やる気に満ちた若手の奮闘を評価しながら「早く点が入ったことで、いけるという慢心が出て(プレーの)スピードばかり速くなりミスが出た」と、空転したことも認めた。攻守に不安を抱え、岡田ジャパンは修正を余儀なくされそうだ。【村上幸将】