大抜てき男は“元ヤンキー”だった!?

 日本代表岡田武史監督(52)が直接指導するU-20(20歳以下)日本代表候補の静岡合宿が22日から始まる。注目は所属する阪南大のトップチームの試合出場経験もないFW南条駿(18)だ。鳴門高時代はサッカーに打ち込みながらもズボンをずらしたやんちゃな服装に、改造したバイクを乗り回すのが趣味という素顔を持つ。将来性期待の破天荒FWが、大抜てきを契機にステップアップを狙う。

 驚きの選出となった18歳FWは、破天荒な過去の持ち主だった。南条は「趣味はバイクをいじることだった」と告白する。日が暮れるまでサッカーに打ち込んだが、暗くなってからはバイクで街を疾走する趣味があった。阪南大の須佐監督は「鳴門高の試合を見に行ったら、ズボンをずらしてダラダラ走っているやつがいた。それが南条だった。でも、能力の高さにびっくりした」と振り返る。

 今は大学で“更生中”という。4月に入学したばかりで、まだ2軍。トップの試合に出場したこともない。1年生として雑用をこなし、寮で門限午後11時、午前8時起床という規則正しい生活を送る。「もうバイクには乗りません。けがをすれば、チームに迷惑がかかるから」と自覚も芽生えた。そんなタイミングで、岡田監督が直接指導するU-20日本代表に選ばれた。

 持ち味は身体能力の高さとスピードだ。そして、最大の武器は「幻惑」だ。「南条はダラダラ走っているように見えるから、相手DFは油断する。そこで、急にスピードをトップに入れて、ゴール前でパスを受けられる」と須佐監督。今年2月からU-18日本代表に選ばれるようになり、今月に同代表のUAE遠征に参加。初めての国際経験だったが「あんまり相手がすごいと思わなかった」と強気な性格も魅力だ。

 「岡田監督って難しいこと言うんですよね。自分は国語苦手なんで、理解できないと思います。日本代表の試合もほとんど見たことないし…まあ、思い切りやりますよ」。合宿中、周囲はサッカーエリートばかりになり「話は合わないと思う」と笑う“元ヤンキー”。こんなやんちゃな性格こそ、日本が求めなければならないFWなのかもしれない。【奈島宏樹】