日本代表MF本田圭佑(23)が定位置獲得へ猛アピールだ。欧州遠征中の岡田ジャパンは1日、オランダ・エンスヘーデ近郊のデロッテで、5日のオランダ戦へ向けた練習を開始した。軽めの調整ながら本田はミニゲームで、MF稲本を体当たりで吹っ飛ばしてボールを強奪するなど、高い意欲をみせた。同じ若手有望株のFW森本貴幸(21=カターニャ)がこの日、左太ももの違和感で招集を正式に辞退。負傷者が相次ぐ中、本田は強豪との対戦で、心身ともに成長した姿をみせつけるつもりだ。

 鈍い激突音が、なごやかな空気を一瞬にして凍りつかせた。オランダ合宿初日、10対10のミニゲーム。本田は中盤でボールをキープするMF稲本に、左斜め後方から、全体重を乗せたタックルを見舞った。ドスン。フィジカルの強さをもって鳴る稲本が、軽々と吹き飛んだ。あまりに衝撃的なシーンに、プレーは中断。だが本田は事もなげに、倒れた先輩に手を差し伸べ、引き起こした。

 オランダ戦に懸ける強い意気込みがあらわれた。「今回のオランダ戦は、世界と戦う、いいリハーサルになる。強い国と本気でやって、いいものを見せたい」。これまで代表では、MF中村俊ら主力の陰に隠れ、控えに甘んじることが多かった。W杯出場へ向け、立場を逆転させるには、世界の強豪相手に通用するプレーを見せることが一番。FIFAランク3位のオランダ戦は、本田にとって、願ってもないチャンスだ。

 地の利もある。オランダ1部VVVでプレーする本田は、今季はリーグ開幕から5戦5発と本領を発揮。オランダへのコンプレックスも苦手意識もない。「今回は時差がない合流。こういう経験はない」と話すように、VVVの本拠地フェンロから日本代表の合宿所まではわずか約100キロ。移動の負担は少なく、コンディションはほぼ完ぺきだ。

 今回の遠征では、急性腰痛で神戸MF大久保が代表辞退。さらにこの日はFW森本の辞退も発表され、練習中にはFW興梠が右足首を痛めた。前線が手薄な分、好調な本田に対する期待が高まる。「みんなが今回の試合で、世界との差を知りたがっている。もちろん僕もそう」と本田。世界トップクラスの選手にひけをとらないことを証明できれば、日本代表の主力に成り上がる日も近づいてくる。【塩畑大輔】