<アジア大会:日本0-0北朝鮮>◇1次リーグB組◇18日◇中国・広州

 初の金メダル獲得を目指す女子日本代表が、前回王者の北朝鮮と0-0で引き分け、1次リーグB組首位で準決勝に進出した。相手のロングボールに対応できず、序盤から苦戦が続いたが、GK山郷のぞみ(35=浦和)を中心に守備陣が踏ん張り、無失点でしのぎ切った。4年前のドーハ大会決勝でPK負けした北朝鮮と再び決勝で対戦する可能性があるため、20日の準決勝の中国戦も必勝を期す。

 GK山郷のキャリアと判断力が日本の窮地を救った。象徴的シーンが後半27分と同30分の、相手FWラ・ウンムスとの1対1のシーン。果敢に飛び出して好セーブした。「向こうは勢いよくくるので、プレッシャーをかければ慌てて蹴ってくる。寄せやすかった」と振り返った。

 意表を突かれた。北朝鮮は5月のアジア杯でMVPを獲得したMFチョ・ユンミを軸にした攻撃サッカーではなく、ロングボールを多用。戸惑った日本は、守備の連係がうまくいかなかったが、山郷の再三の好守と、適切な指示で、90分間を無失点で乗り切った。

 山郷は08年北京五輪直前にメンバーを外れるなど、苦い思いも経験してきた。だが、この日の試合後、佐々木監督は「第1GKということを伝えてある。経験もあるし、しっかり抑えてくれた」とあらためて実力を評価した。

 北朝鮮には4年前のドーハ大会決勝で0-0からのPK戦で負けた因縁がある。アジア杯では2-1で勝利したが「アジア大会の借りはアジア大会で返す」とMF沢。山郷は「(若い選手も)強い北朝鮮とどれだけできるか確認できたのは、良い経験になったと思う」と、可能性がある決勝での再戦に、再び照準を合わせていた。【鎌田直秀】