<アジア杯:日本1-0イラク>◇1次リーグD組◇16日◇ブリスベン

 八百長疑惑に揺れる日本代表で、FW本田圭佑(28=ACミラン)が2試合連続のPK弾で勝利につなげた。日本(FIFAランク54位)はイラク(同114位)と対戦。前半23分、本田は自分が得たPKを決め勝利。スペイン時代の八百長疑惑で告発受理と報道されたハビエル・アギーレ監督(56)の雑音拡大を防いだ。また、3度も枠に嫌われ、決定機を外し「あれは決めないと」と猛省した。次戦ヨルダン戦(20日=メルボルン)で決勝トーナメント進出を決める。

 両腕を真横に広げた本田のもとに、左から岡崎、右から香川が祝福に集まった。日本が欲しかった先制点。PKを危なげなく決めた本田は、両脇に仲間を抱えながら、スタンドに向かってほえた。そして「オカ、オカ」と岡崎を呼び、向かい合って右手で敬礼のパフォーマンス。パフォーマンスをあまり見せない本田は、珍しいスタイルでゴールを喜んだ。

 前半23分、自らの布石が生き、獲得したPKだった。乾の左からのクロスに飛び込んだ香川がシュート。GKのこぼれ球に寄った本田は、イラクDFに両サイドからはさまれ転倒した。イラクからすれば最大の危険人物に訪れたビッグチャンス。冷静さを欠いたイラクDF陣からファウルを誘い出した。

 前半11分にはスルーパス。同17分には右サイドを起点に展開した長友の左クロスに飛び込んでヘディングシュート。右ポストにはね返されたが、前評判通りチャンスを生み、そして生かす動きで相手DFラインの注意を誘っていたが、試合後は反省が口を突いた。

 「余裕はないですよ。2-0になっていたら余裕が出たと思いますけど。チャンスがあった選手が決めないと。自分自身も反省しないといけない」

 PK弾の後はことごとくゴールに嫌われた。後半2分には右足ミドルがゴールバーをたたき、同20分、右クロスへ飛び込んで放った右足シュートはポストに当たってはね返された。前半と合わせ計3本も枠にはね返された。自虐的に話しながらも、数字的な目標を次戦に向けて披露した。

 「外したことはしょうがない。ただああいったチャンスをあと3、4本つくればいい。7、8本打てばさすがに外さないでしょうから。次きたら決める」

 前大会のMVP。公式パンフレットには「皇帝・圭佑」と紹介された。コンディションは「まだまだ。でもちょっとずつ上がっているので、その部分の手応えはある」。万全ではなくとも、悪いなりにもこの第2戦の主役を担い、日本の国際Aマッチ300勝目に、マン・オブ・ザ・マッチに選出された。次戦ヨルダン戦で引き分け以上で準々決勝進出が決まる。3戦連続ゴールの期待がかかる本田が決めて勝ち進めば、2連覇への視界が広がる。おのずと2大会連続MVPさえ見えてくる。【栗田成芳】