日本が1次リーグ3戦全勝を飾った。既にB組首位通過を決めていた日本は、2-1でサウジアラビアに競り勝った。22日の準々決勝でA組2位のイランと激突する。

 日本の団長で日本協会の田嶋幸三副会長(58)がドーハ市内で取材に応じ、準々決勝に立ちはだかるイランのエースを名指しで警戒した。「17番、トラビを止められるかどうか。しなやかで技術もスピードもある。勝手なプレーも見受けられるが、チームプレーをし始めたら怖い存在になる」。15日のカタール対イランも視察し「イランはアジアの中でも『個』が育っている国の1つ」と警報を出した。

 そのトラビが18日の中国戦で才能を見せつけた。3-2で勝った試合の前半にチームの2得点の起点になり、後半3分には自ら直接FKを決めた。約25メートルの距離から、GKの手をはじき飛ばす力強い一撃を右足で蹴り込んだ。185センチの長身を生かして、空中戦でも地上戦でも活躍した。

 ハリルジャパンにも手痛い1発を見舞っている。昨年10月、A代表が中東遠征でイランと対戦。前半終了間際にDF吉田のファウルを誘ってPKを獲得。別のキッカーが外したこぼれ球を押し込んだ男が、トラビだった。イラン国内リーグのサイパに所属し、昨年20歳でA代表デビュー。すぐ定位置をつかみ、国際Aマッチ7試合3得点の成績を残す同国のスター候補だ。

 タレントを抱えるだけでなく、敵将のハクプル監督は日程面の優位さも強調した。「日本より1日多く休める。試合のカギは回復能力。日本は今大会で最も組織だったチームだが、中3日を有効活用して破れるよう挑戦したい」と話した。

 準々決勝に勝てば五輪出場に王手、敗れれば歴史的敗退となる。田嶋氏は「日本の前評判は高いが、近年はU-20W杯など世界大会を逃している。わらでも何でもつかんで五輪切符は引き寄せてほしい」と期待。そのためにはトラビを止めることが不可欠となる。