<アジアCL:名古屋4-1蔚山(韓国)>◇6日◇1次リーグ◇E組◇瑞穂陸

 名古屋がFW巻佑樹(24)の1得点2アシストの活躍で、蔚山(韓国)を4-1で破り、1試合を残してE組1位での決勝トーナメント進出を決めた。ACL初先発の巻は前半23分、寝違えによる首痛をものともせず、得意のヘディングでゴールを決めるなど、日本代表の兄誠一郎(千葉)に負けない力強いプレーを連発した。

 「利き足は頭」という男が、得意のヘディングで決めた。前半23分、巻がMF小川の左クロスにガムシャラに飛び込んでネットを揺らした。「ここに出してほしいというところに蹴ってくれた」という。その9分前には「頭」で小川の先制点をアシスト。後半27分にも小川のダメ押し点を演出。1得点2アシストで、1位突破の立役者になった。

 この日朝起きると、首から右肩にかけて痛みがあった。寝違えだった。「どうってことないです。みんなからは『ヘディングで治せ』って言われてましたから」-。昨年1月、日本代表のボスニア・ヘルツェゴビナ戦でろっ骨を骨折しながらプレーした兄に負けない頑丈さを見せつけた。

 昨年9月28日浦和戦以来実に220日ぶり、待望のゴールだった。同期で私生活でも仲のいい小川は昨季Jベスト11と新人王に選ばれた。対照的に、FW玉田らの陰に隠れて出番にすら恵まれなかった。今季序盤、個人ブログのコメント欄に名前の「佑樹」をもじって『巻“空気”ですね』とまで書き込まれた。それでも「全部頑張れってことだと思いますから」とグチもこぼさず、持ち味の泥臭いプレーを続けた。

 体も強いが、ハートも強い。そんな3年目のFWを、ストイコビッチ監督も「エリア内でとてもいい仕事をしてくれた」と高く評価。ACLホーム初勝利で初出場ながら今大会、日本勢最速の1位突破を決めた。会場の空気を一変させた巻が、アジア王者を目指す名古屋の武器となる。【八反誠】