J3秋田がアウェーで町田を下し、今季初白星を挙げた。前半21分にFW牧内慶太(24)が決めた今季チーム1号を守りきった。就任1年目の間瀬秀一監督(41)にとっても記念すべき監督初勝利となった。

 3分間のロスタイム、秋田の間瀬監督は何度も時計を見た。チームにとっても自身にとっても、大事な初白星がかかっていた。リードは前半に奪った1点のみ。後半は相手の猛攻を必死に耐えた。試合終了のホイッスルが鳴ると、間瀬監督は拳を強く握りガッツポーズを作った。2戦目にしてつかんだ1勝に「立派なクラブに敵地で勝つことができ、素直にうれしい」。初めて笑みがこぼれた。

 采配が的中した。この日サイドの配置は右利きのMF峰を左に、左利きのMF川田を右に置いた。「川田がボールを持ち出し、左の峰が内側を向いてボールを受けられればサイドで起点が作れる」(間瀬監督)とワイドに展開。前半21分の先制点は、左へのサイドチェンジ後に峰がゴール前へボールを運び、混戦から牧内が押し込んだ形だった。今季チーム初ゴールを決めた牧内は「(試合に)出してもらえたら、秀さんの勝利を飾れるよう狙っていました」。開幕戦では先発を外れたが、2戦目でのスタメン起用に応えた。

 「1つのやり方に終わらない対応力をつけたい」と間瀬監督はいう。昨年までのつなぐ意識は継承しつつ、長短を織り交ぜたパスで攻撃の芽を出し、結果につなげるスタイルが理想だ。この日は積極的に交代枠を使い、最後まで引いて守らない強い姿勢も示した。

 かつて通訳として元日本代表監督イビチャ・オシム氏を支えた経験を生かし、指揮官という新たな挑戦をスタートさせた今季。間瀬監督は「まだ1勝ですから(オシム氏に)連絡はしません。何かしらの情報で、勝ったということが伝わればいいなと思います」。記念すべき初勝利を、白星街道へつなげていく。【成田光季】

 ◆間瀬秀一(ませ・しゅういち)1973年(昭48)10月22日、三重県四日市市生まれ。暁高、日体大を経て、97年に単身米国へ渡り2部のゴールデンイーグルスでプロ契約。メキシコ、グアテマラ、エルサルバドル、クロアチアリーグを経験し、03年から06年まで千葉でイビチャ・オシム氏の通訳。07年から千葉、岡山、東京Vのコーチを務め、15年1月に秋田監督に就任。