H組最下位の鹿島が、首位の広州恒大(中国)を退けて今季ACL初勝利を挙げた。1-1の後半ロスタイムに劇的な決勝点。日本代表ハリルホジッチ監督の前で、MF柴崎岳(22)のFKにFW高崎寛之(29)が頭で合わせた。3連敗したが、この1勝で自力での1次リーグ突破の可能性が復活。残り2連勝で決勝トーナメントに進出できる。

 崖っぷちの鹿島が、徳俵からうっちゃった。13年ACL覇者の広州恒大に、1-1と追いつかれた後の後半ロスタイム。表示3分の47分58秒だった。ゴール右35メートル。柴崎が右足で送ったFKに、188センチの高崎が頭で合わせた。完全にヒットしなかったが「気持ちでねじ込んだ。うちは勝つしかなかったので」。GKの指先をかすめて左サイドネットに飛び込み、直後に試合終了の笛が鳴った。劇的なラスト1プレーだった。

 呼吸が合った。先月18日のアウェー戦は3-4で逆転負け。その時も高崎は得点したが、FKから2失点した。以来、最も時間を割いたのが攻守のセットプレー。決勝アシストの柴崎が「手前の選手の頭を越えるイメージ」と明かせば、高崎も「(柴崎)岳と練習で合わせた通り。守備の間に潜り込めば点は取れると思っていた」と振り返った。

 柴崎は代表経験も生かした。ハリルホジッチ監督から「日本はFKからの得点が少ない」と指摘され、「鹿島も取れていない」と思った。クラブに戻ってから居残り練習を重ね、3日のリーグ鳥栖戦に続く2試合連続のFKからのアシストで、成長を示した。

 負ければクラブ初の1次リーグ敗退の可能性があった。年俸10億円のFWエウケソンに同点弾を浴びたが、日本勢2勝2分け8敗の難敵にリベンジ。残り2連勝で自力突破できる。今季は泥沼の6試合勝ちなしから始まったが「かろうじて、つながった道。大事にしたい」と柴崎。鹿島のエンジンが温まってきた。【木下淳】