これが不敗神話を持つエースだ! G大阪FW宇佐美貴史(22)が高い技術で2得点をたたき込んだ。前半29分は絶妙な空中トラップから右足で決め、先制。2-2の後半35分には、DFを背負いながら得意のドリブルで突破し、決勝弾を決めた。これで宇佐美がゴールすると13年秋から22勝4分け。エースが5戦6発で単独得点王に立ち、チームもリーグ3連勝で5位から3位に浮上した。

 富士山の麓で、エースの力を見せつけた。宇佐美は左胸の「39」を数回たたいた後、右手で軽くガッツポーズした。2-2で迎えた後半35分、MF二川からのパスを中央で受けた。DF2人を背負いながら左に切り替えた。あわててもう1人止めにきたが、ドリブルでかわし、ファーサイドに打ち込む姿勢をしたままニアに右足で蹴りこんだ。

 「インパクトの瞬間に(コースを)変えるのは、得意の形。得点する上での感覚が良くなってきている」

 前半29分も技術の高さを見せた。MF阿部からの高く浮いたパスを右のつま先で軽く触り前へ出した。DFの頭上を通して振り切り、右足で思い切り決めた。敵地のファンからも驚きの声が漏れるほどだった。

 「DFの位置は把握していなかったけど、ボールを触った瞬間に分かった。(DFは)思ったより前でしたけど、結果的にゴールになって良かった」

 巧みな技術は毎日磨かれた。試合前、宇佐美は音楽を聴きながらひたすらリフティングを続ける。片時もボールを離さず、足もとに集中する。G大阪のジュニアユース時代はコーチが話している間もボールを蹴り続け、怒られた事があったぐらいだ。次々と繰り出す観客の目を奪うプレーは、サッカーが好きという素直な気持ちから生まれたものだった。

 リーグ戦3戦連発、通算6点で得点ランクも単独首位に立った。「自分のゴールとチームの結果がリンクしているのが良かった」。チームも3連勝で、宇佐美が得点すると公式戦22勝4分けという不敗神話も継続した。長谷川監督も「苦しいときに点を取れるのがエース」と、大活躍にうなずいた。頼もしい22歳がいる限り、G大阪も日本代表も未来は明るい。【小杉舞】