教科書通りのゴールでG大阪FW宇佐美貴史(22)が4戦連発だ! 前半26分、DF米倉のシュートをGKが弾き、こぼれ球を頭で押し込んだ。得点ランクトップをキープする今季7点目は、長谷川監督から渡された海外選手の動きだしをまとめた映像と、日本代表FW岡崎をお手本とした。宇佐美の先制弾とMF遠藤のPK弾で湘南を下し、4連勝で3位から2位に浮上した。

 湘南の風に金髪がなびいた。泥臭い1発。4戦連発となる宇佐美の今季7得点目は、前半26分だった。遠藤からのふわりとしたクロスをDF丹羽が頭で落とし、米倉がシュート。GKがはじいて浮いた落下点を嗅ぎつけ、頭で押し込んだ。

 「ごっつぁんゴールに見えたかもしれないけどCKからの動き直しを何回も繰り返していた。単に押し込んだゴールじゃない」

 今季のテーマであるワンタッチゴール。開幕前、長谷川監督と、今季から就任した元日本代表分析担当の和田コーチからある映像を渡された。メッシ(バルセロナ)カバニ(パリサンジェルマン)ジエゴ(フェネルバフチェ)ら欧州各国リーグで「動きだし」を得意とする選手をまとめた総集編。ボールのないところでの動き方を目に焼き付けた。得点王になるためには、ミドルシュートだけでなく、難度を落としたゴールで得点を重ねる事が必要だったためだ。

 日本代表にも師匠はいた。A代表でFWの大先輩岡崎は動きだしの達人だ。代表期間中、岡崎から「無駄走りの数を増やせ」と助言を受けた。言われた事だけでなく、目で見て観察も怠らなかった。岡崎の動きを頭にたたき込んだ。

 「ボールの来る確率を増やす動きだしをしている。いかにボールがこぼれてくるところにいてるか。そういう動きを繰り返すこと。今は、繰り返せているから7得点という結果が挙げられている」

 長谷川監督も「今はこれ以上何を望むんだ」と最高の賛辞を述べた。得点ランク首位をキープし、13年秋から続く不敗神話の記録も伸ばした。宇佐美が得点すれば23勝4分けと負けなしだ。まだ見ぬ得点王の景色を拝むまで、22歳は進化を続ける。【小杉舞】