今季初の“ジョーカー弾”で初連勝につなげる。J2札幌は、今日26日、アウェーで岡山と対戦する。出場停止明けのFWナザリト(24)は、初めてベンチスタートとなる。昨秋、バルバリッチ体制になってから20戦目も、途中出場選手による決勝点はゼロ。5試合ぶりに勝利を挙げた前節の流れを生かしつつ、勝負どころで7戦5発の主砲を投入し、確実に勝ち点3を奪いにいく。

 抜群の身体能力を短時間に凝縮させる。ナザリトは前節水戸戦を、累積警告で出場停止。2試合ぶりのピッチに向け「前回はスタンド観戦だったし試合に出たくて仕方がなかった。出たら、とにかく最大限の力を出すよ」と前を向いた。

 新たなスタイルを築いていく。岐阜時代の昨季の17点、今季5点と、Jでの計22得点いずれも先発で挙げてきたもの。07年のU-17W杯でも4戦で3得点を挙げたが、これもすべてスタートから出場して決めたもの。本来は“先発型”だが「どのタイミングから出ても、ゴールを狙っていきたい」と息巻いた。前節水戸戦は3トップ中央に入った都倉が決勝点。流れのいい先発攻撃陣の連動性を重視し、今回は“切り札”転向で相手に脅威を与える。

 現体制の課題の1つが、途中出場選手の得点が極めて少ないこと。昨年9月にバルバリッチ監督が就任して以降、初戦の9月14日岐阜戦で内村が決めた同点弾のみで、決勝点はゼロ。前回昇格した11年の石崎札幌は、高さの上原、ドリブルの岡本、泥臭さの横野ら多彩な切り札を用い、途中出場選手の決勝点が4度あった。バルバ体制は昨季から20戦で引き分けが9試合と多く、試合を決めるジョーカーさえ定着すれば、4年前同様、接戦を勝ち抜く力になる。

 指揮官も「J1昇格には先発の選手だけでなくチームの総力が必要」と言う。札幌はアウェー岡山戦で4連敗中も、ナザリト自身は昨年7月30日の対戦で2ゴールを決め、相手に強烈なインパクトを焼き付けている。まずは先発都倉弾で先手。そして敵が疲れた後半に宝刀ナザ砲を投入し、一気に鬼門岡山を討ち破る。【永野高輔】

 ◆途中出場選手の得点 14年は6人で、決勝点になったのは4月5日松本戦でのFW都倉、6月28日岐阜戦でのFW丁の2得点。5人が財前体制で、現体制では9月14日岐阜戦での内村の1点のみ。決勝点はない。昇格した11年は7月9日愛媛戦FW横野、同16日水戸戦MF岡本、同31日岐阜戦FW上原、9月21日東京V戦MF岡本が途中出場で得点し、チーム15勝の約3分の1となる4勝を呼び込んだ。