G大阪の孝行息子たちが母の日に最高の勝利を贈った。アウェー広島戦は勝利。後半15分のFWリンス(27)の決勝点を死守し3位に浮上した。日本代表のエースに成長中のFW宇佐美貴史(23)は、得意のドリブルで好機を演出するなど無得点に終わったが、広島の会場に駆けつけた母美紀さん(53)に白星を贈った。

 「母の日にゴール決められたら良かったけど、それやったら建国記念の日とか(他の記念日)まで決めないとあかんくなってしまう。勝利を贈れて良かった」

 後半15分だった。宇佐美が倒されて得た直接FK。主将のMF遠藤がファーサイドのDF岩下へ入れたボールを、最後はリンスが頭で決めた。広島の厳しい攻めにも耐えながら、宇佐美を中心に、黄金週間前から続いた公式戦の強行7連戦を6勝1敗で乗り切った。

 この日朝、宇佐美の母宛てに蘭夫人からメールが届いた。「『今日、母の日やから勝てるようにする』と言ってました」。この言葉を見て、宇佐美の両親は日帰りで広島行きを決意したという。父和彦さんとメーンスタンド上段から観戦した美紀さんは「ゴールを決めてくれたら一番やけどね」と、息子の顔が描かれたフラッグを掲げて声援を送っていた。

 後半31分には日本代表候補DF藤春が左足で強烈なシュートを放った。惜しくもポストに嫌われたが、左サイドを支配した。東大阪市の自宅で観戦した藤春の母洋美さん(53)は「勝ってくれるのが一番!」と親孝行する姿に心を打たれた。「(母へは)勝って優勝することが一番」と決意していた遠藤もFKで決勝点の起点となり、存在感を示した。

 3冠王者G大阪は首位浦和とともにACLのため1試合消化が少なく、2位東京を含めて首位争いは横一線ともいえる。長谷川監督も「アウェーの勝ち点3は大きい。特にアウェーでの勝ち点に選手はこだわってくれている」。母親への感謝の思いを力に変え、G大阪の息子たちは第1ステージ制覇を目指す。【小杉舞】