G大阪FW宇佐美貴史(23)が、思い出の地で再現弾2発を突き刺した! 4年ぶりの決勝トーナメント(T)1回戦は敵地でFCソウルに先勝。後半18分、先制弾を挙げると、同41分にも追加点。プロデビュー戦で初ゴールを決めた6年前と同じ日、同じ相手に成長した姿を見せた。敵地で3点をたたき込み、8強進出に優位な状況で第2戦(27日、万博)に臨む。

 嫌な空気をひと振りで吹き飛ばした。エース宇佐美が、0-0の均衡を破った。後半18分、DF藤春の左クロスをダイレクトで合わせ、強烈な右足ボレーをネットに突き刺さした。前半はシュート0本だったが、敵地でJリーグ得点王の決定力を見せつけた。

 「クロスがいいところにきていたので、しっかり当てて決めるだけだった」

 DF米倉が追加点を挙げ、2-0で迎えた後半41分。次は、得意なドリブルが光った。DF2人に囲まれながらもゴール前に持ち込み、左足シュート。チーム3発目を決めた。

 脳裏に刻まれている。6年前のこの日、プロとして初出場、初得点した試合の相手がFCソウルだった。17歳14日でのゴールはいまだクラブ最年少記録。門出の一戦で履いていたスパイクは、下積みを重ねたユース時代の恩師である松波正信氏(現J3鳥取監督)に感謝の気持ちを込めて贈った。「思い出深い相手とやれて、結果も残せたので気持ち良く帰れる」と、表情を緩めた。

 成長が止まらない宇佐美の活躍に長谷川監督は「コンディションが万全でない中、結果を出せるのは、貴史もたくましくなったのかな」と目尻を下げた。敵地で価値ある3発で、8強入りへ優位な状況。ホームにFCソウルを迎える27日の第2戦に向け、エースは「90%勝ちを決められたようなもの。でも、100%で終わらせるためには、次が大事。油断せずに臨みたい」と冷静だった。今季最大の目標は、宇佐美が経験していない7年ぶりのアジア制覇。23歳になった背番号39が、あの頂へと導く。【小杉舞】

 ▼ACL3試合連続ゴール G大阪FW宇佐美が記録。Jリーグ所属選手のACL連続試合ゴールは、09年のG大阪FWレアンドロ(現柏)の5戦連続が最長。2位が13年の柏FW工藤で4戦連続。3戦連続は3位タイで、過去に06年、08年と2度マークしたG大阪MF遠藤、09年の鹿島FW大迫、14年のC大阪FW柿谷、14年の川崎FのFW小林らが達成している。