J2札幌は横浜FCに勝ち、3季連続の3回戦進出を決めた。前半28分にFWナザリト(25)が、4月5日J2東京V戦以来5カ月ぶりの得点を挙げ、先制点を守りきった。12日のリーグ再開戦の相手との前哨戦で、攻撃の核が「お目覚め弾」。リーグ12戦勝ちなしのチームにとって、貴重な得点になった。3回戦は鳥栖と対戦(会場、時間は2回戦全試合が終了後に決定)する。

 欲しかった1点が、ようやく決まった。0-0の前半28分、MF宮沢の縦パスに反応したFWナザリトは、ボールにタッチした瞬間、猛然と縦にドリブル突破。ゴール前でスライディングに来た相手DFを軽くかわすと、GKの位置を見定め、強烈な右足シュートを突き刺した。「きれいなゴール。練習でやってきた形が出せた」。得点後、両拳を握りしめると、右膝をついてピッチに滑り込み、雄たけびを上げた。

 鈴木ウリセス通訳の長男誕生を祝うため約束していた“ゆりかごダンス”は、興奮のあまり忘れてしまった。ハーフタイムで同通訳に「申し訳ない。でもオレはこの得点が欲しかった。これから、もっと点が取れるようになるんじゃないかと思ったら、ウリのことを思い出す余裕がなくなっちゃった」と謝罪。4月5日J2東京V戦以来5カ月ぶりの1発は、完全復活に向け、どうしても必要だったスイッチボタンだった。

 バルバリッチ前監督体制の1トップから2トップに変わり、前への推進力を取り戻しただけでなく、リーグ中断前の8月23日熊本戦後、コーチ陣と動きだしの猛特訓を積んだ。「外国人独特の動きだしというのがあって、今までは早過ぎたり、動いていなければいけないときに止まっていたりということがあった」と沖田コーチ。前半36分には、小野のトリッキーな右アウトサイドキックでの浮き球パスにも反応した。これまで空回りしていたスピードが、連係の中で確実に機能し始めた。

 初先発の小野との相性も良く、前半21分には自ら左サイドを突破し、逆サイドの小野にクロスを通すなど、ONラインでチャンスをつくった。「伸二は経験豊富で、しっかり動けばボールがくる。後は自分が決めるだけ」。2人の核が連動し、リーグ次戦の相手を結果も内容も上回った。この勢いを生かし、リーグ残り12戦での巻き返しにつなげる。【永野高輔】

 ◆今季のナザリト 3月8日の開幕栃木戦で2ゴールで勝利に貢献。3月29日大宮戦から4月5日東京V戦までは3戦連発も、同11日讃岐戦で4枚目の警告を受け出場停止になると、停止明けの同26日岡山戦以降先発から外れる。6月6日千葉戦で途中出場後、右ふくらはぎ肉離れなどで11試合出場なし。FW都倉の負傷離脱を受け、8月15日岡山戦で12試合ぶりに出場した。