G大阪FW宇佐美貴史(23)が、日本代表戦を含めて公式戦11試合ぶりのゴールを決めた。前半29分、FWパトリックとのワンツーで中央を崩すと、相手DFの股下を狙って右足シュート。ゴール左隅へ突き刺した。祝福に駆けつける仲間を振り切り、真っ先に長谷川監督のもとへ走った。10分後には2点目。「2点ともラッキーな形だったけど、自分らしいゴールだった。最後のフィニッシュのいい精度が戻ってきた」。

 一番の理解者から後押しを受けた。遠征出発前、妻蘭さん(23)から「9月はいつもいいことがある。次は決められると思う」と予言された。ホッフェンハイム時代、ブンデスリーガ初得点を挙げたのも9月で「『予言1つで変わるもんじゃないやろ』って捨てぜりふ吐いて出てきたんですけどね。女の勘って怖い」と笑顔が戻った。

 一番届けたかった人に恩返しゴールを贈った。不振に陥っても起用し続けてくれる指揮官だ。8月の東京戦で2トップの一角でなく左MFを務めてから、得点のイメージにズレが出た。さらに減量のしすぎで、下半身の筋肉量まで落ちてしまった。その後は「筋トレをして体脂肪をキープしながら体重を増やした」と必死に回復。開幕前「監督に得点王を届けたい」と誓った言葉に偽りがないことを証明したかった。

 エースの復活で勝ち、年間4位に食らいついている。長谷川監督も「宇佐美の先制点が大きかった」と目を細めた。残り7試合。目覚めた23歳が、一気に階段を駆け上がる。【小杉舞】