鹿島の最多6度目か、G大阪の2連覇か。ナビスコ杯決勝が今日31日、史上初の3冠チーム同士の顔合わせで行われる。鹿島の石井正忠監督(48)はチームの伝統を受け継ぎ、日本人監督初のタイトルを目指す。

 クラブ初の日本人OB監督である石井監督は、鹿島の初代キャプテンにして、ジーコ・スピリットの正統継承者だ。93年のJリーグ元年は3ボランチの左でトップ下のジーコを支えた。中央の本田泰人、右のサントスと守備を統率。第1ステージ初代王者に輝いた。

 以来、選手7年、指導者17年。人生の半分を鹿島にささげてきた。今年7月、トニーニョ・セレーゾ氏の解任を受けて監督に昇格すると「勝負にこだわる集団を復活させたい」と所信表明。遊びですら負けを許さないジーコの姿勢だった。

 過去の16冠はすべて外国人指揮官が獲得。日本人監督初のタイトルがかかる。ナビスコ杯は選手、コーチで計4度の優勝を経験。立場と、会場が国立から変わっての公式練習を終えると「徐々に緊張感が高まってきた。楽しみ」と言った。

 優勝を争うG大阪の長谷川監督は「1学年上のアイドル。高校時代、わざと外側にドリブルしてからインカーブのクロスを上げて『長谷川健太~』って物まねしてましたから」。雲の上の存在だったが、引く気はない。00年鹿島以来の3冠を昨季達成した長谷川監督に、名門復権を託された新米監督が挑む。【木下淳】