劇的ロスタイム弾で、望みつないだ! J2札幌は、千葉に2度リードされる展開も追いつき、後半ロスタイム6分、DF上原慎也(29)の勝ち越しヘッドで勝利した。負ければプレーオフ(PO)消滅の可能性があったが、今季初の逆転で3試合ぶりの白星をもぎ取った。勝ち点を51に伸ばし、前節の13位から10位に浮上。7日の徳島戦以降にPO進出の可能性を残した。

 あきらめない気持ちが結果につながった。2-2で迎えた後半ロスタイム6分、線審から最後のプレーと告げられ臨んだDF福森の右CKは、1度クリアされたが、MF中原が拾ってつなぎ、再び福森がゴール前に蹴りこんだ。「とにかく気持ちをこめて、いいボールを蹴ろうと思った」。混戦の中、DF上原が頭で合わせると、ボールは大歓声に後押しされ、千葉ゴールに転がり込んだ。

 「(ク)ソンユンが僕のマークをブロックしてくれたおかげ。みんなで取った1点」と上原。それまでPK含む2失点と振るわなかったGKクが、最後のワンプレーでゴール前に上がり、決勝点をお膳立てした。全員が最後の1秒まで勝利にこだわり、奇跡的な1勝を呼び込んだ。

 四方田監督就任後、前節大分戦まで先制された試合は5戦全敗だった。今季39戦目で初の逆転勝利。崖っぷちでの勝ち点3に、指揮官は「選手が最後までプライドを示してくれた。感謝したい」と喜んだ。

 張り詰めた空気を、指揮官はじめ、スタッフ全員の気配りで和ませた。この千葉戦で河合がJ300試合、櫛引が100試合。稲本が国内外リーグ400試合の節目を迎えていた。試合開始前のロッカー室で四方田監督が「竜二、イナ、クッシーの節目を、みんなで勝って祝おう」と鼓舞すると、最後に李マネジャーが「オレの誕生日もね」と付け加え大盛り上がり。PO消滅が迫る悲愴(ひそう)感は、一気に消えうせた。

 「節目で勝つって言うのは大事なことだからね。今日みたいにあきらめずに勝ち点3を取りにいく姿勢を見せられれば、どんな試合も勝てる」と小野。東京V、長崎が敗れたため、プレーオフ圏6位とは勝ち点6差に縮めた。残りは3戦。ぎりぎりの戦いが続くが、勝ち続けて最後まで上を目指す。【永野高輔】