仙台レディースは浦和に勝利し、創部4年目で過去最高の2位に入った。前半24分に先制点を奪われるも、後半29分にMF嘉数飛鳥主将(26)のゴールで追いつくと、終了間際の後半ロスタイムにFW井上綾香(20)が劇的ゴールを決め逆転勝ち。ホーム最終戦を最高の形で締めくくった。クラブ史上最高成績へ導いた千葉泰伸監督(44)には、来季の続投オファーが届いていることも分かった。

 降りしきる雨の中、仙台Lの選手たちは抱き合って喜んだ。1年間キャプテンとしてチームをけん引したMF嘉数が「2位になりました」とお立ち台で叫ぶと、全員の笑顔がはじけた。最高の意味で「今季を象徴するような試合だった」と千葉監督。この日はベンチ入り停止のため、ピッチ外から戦況を見守り「選手たちが奮起してくれて、チーム最高の2位をうれしく思います」と安堵(あんど)の表情で話した。先取点は取られたが嘉数主将の1発で同点に追いつくと、ロスタイム3分に井上が体勢を崩しながらも押し込み、最後の最後で勝ちきった。

 今季5度目の逆転勝ち。劣勢に立たされても諦めずに攻め続け、巻き返す強さがシーズンを駆け抜ける中でついてきた。昨年からはMF鮫島(神戸)やMF上辻(日テレ)、DF長船(浦和)らなでしこジャパン常連の主力が抜け、戦力ダウンといわれた今季。それでもチーム力を高め、若手は経験を積みながら、それぞれが進化を遂げて強くなった。この日指揮した正木裕史コーチ(46)は逆転シーンを「頭が真っ白で覚えていない」と苦笑したが「24人全員で戦えたからこそつかめた順位」と言う。仕事と両立しながら行う短い練習では、何度も選手同士でぶつかりながら「サッカーを語り、勝利のためにできることを考え続けた」(MF川村)と振り返る。

 創設年から在籍する嘉数は「今年は誰ひとり腐らずみんながチームのためにやってくれたおかげ。4年目で一番、みんなで強くなったという感じが強い。充実してるからか、あっという間の1年だった。来年こそは優勝したい」。千葉監督はこれから始まる皇后杯で「タイトルを取りに行きます」と誓う。日本一にも手が届く、大きな成績を残した。【成田光季】