G大阪(年間勝ち点3位)が浦和(第1ステージ優勝、年間勝ち点2位)を延長の末、下し、チャンピオンシップ(CS)決勝へ進出した。延長後半13分、27歳の誕生日のDF藤春広輝が勝ち越し弾。その15秒前に、DF丹羽大輝(29)のバックパスがあわやオウンゴールになるピンチからカウンターが決まった。G大阪は決勝で広島(年間勝ち点1位、第2ステージ優勝)と激突。ホームアンドアウェー方式の決勝は12月2日に万博、5日にEスタで行われる。

 誰もが息をのむ出来事だった。延長後半13分に藤春の決勝弾が生まれる15秒前だった。ボールをキープしていた丹羽が相手の重圧に浮き球でバックパス。ボールは前進守備だったGK東口の頭上を越え、無人のゴールに飛んでいった。しかし、運良く左ポストを直撃。間一髪で命拾いした。

 長谷川監督が「一瞬やられたと思ったが、逆にレッズの集中力をそいだのかな」と振り返る“珍プレー”から一気のカウンター。5本のパスをつなぎ、その間に藤春が左サイドを駆け上がった。幼少の頃、母洋美さんに毎日タイムを計測してもらい、日没まで近所の公園でダッシュして鍛えた俊足でぐんぐん加速。最後はDF米倉からの右クロスを右足で合わせ、鋭い弾道でゴールへ突き刺さした。

 「ヨネ(米倉)と目が合ったので振り抜いてやろうと思った」。藤春はこの日が27歳の誕生日。大体大4年のとき、22歳の誕生日は一発退場を食らった。「バースデー弾は今までなかった。ゴールまでできて良かった」と笑みがはじけた。

 オウンゴールの危機を免れたところからの逆襲に、主将のMF遠藤は「入っていれば歴史に残るゴールだった」と苦笑い。GK東口は丹羽に「持ってるな」と話しかけた。当事者の丹羽は「サッカーの歴史上ないんじゃないですか。神様がいた。紙一重のプレーだった。結果オーライ」と胸をなで下ろした。

 年間勝ち点3位から決勝へ進出し、まず目標としていた来季のACL出場権を得た。次は広島との決勝。万博での第1戦まで、中3日と厳しい日程だが長谷川監督は「今シーズンは慣れている。3連戦ぐらいなら問題ない」。遠藤も「あとはチャンピオンを目指してやっていきたい」と力強い。連覇まであと2勝。G大阪の逆襲はまだ終わらない。【小杉舞】

 ◆CS決勝の試合方式 90分間で同点の場合は引き分け。勝利数が多いチームが優勝。同数なら2試合の得失点差、アウェーゴール数の順で決め、それでも同じ場合は第2戦終了後に延長、PK戦へと進む。優勝賞金1億円。