仙台はホームで柏と対戦し敗れた。FWウイルソン(30)が2得点、DF二見宏志(23)が1得点を挙げるも、PK戦の末に09年以来の同大会4強入りを逃し、今シーズンを終戦した。

 悔し涙があふれた。120分間で3-3の激闘を演じた末のPK戦。相手5人目のキッカーの球がネットを揺らすと、仙台イレブンはぼうぜんと立ち尽くした。スタジアムは静まり返り、GK六反は芝の上に座り込み、うつむいた。リーグ戦の悔しさをぶつけようと挑んだ天皇杯。あと1歩のところで6年ぶりの準決勝進出を逃し、初タイトルの夢も消えてしまった。

 渡辺晋監督(42)は「勝たなければいけない試合だった。このチームの実力なのかな」とポツリ。しかし、収穫はあった。後半29分、DF蜂須賀のクロスからDF二見の同点ヘッドが生まれたように、これまでサブ組だった若手が躍動し、柏と互角以上に戦い抜いたことは、チームの新たな可能性を感じさせた。

 それだけに数的優位になってからの3失点目が悔やまれる。「なぜ(11対10で)ボールを保持出来なかったのか、FKを与えてしまったのか、とどめを刺せなかったのか…」と指揮官。懸命に足を動かしても結果が全て。最後の最後に白星はさらわれた。契約満了に伴い退団となるDF村上はこの日が仙台で最後のプレーとなった。右サイドバックで先発し53分間。「足が限界」と途中交代もベテランらしく要所を締め、効果的な配球など光った。村上は「クラブに感謝しています」とし「今日は代わって入った二見が点を取ってくれるなど心強い。アイツらが今後、頑張ってくれると頼もしいですね」と笑顔も見せた。今季は終わったが、顔を上げて来季へ向けて歩き出す。【成田光季】