第94回全国高校サッカー選手権が30日、開幕した。

 新潟明訓が、全国選手権に16年ぶり(6度目)に帰ってきた。開会式で、前年度優勝の星稜(石川)から数えて18番目に入場行進したイレブンは正面スタンド中央にくると、明るい表情で手を振った。今日31日は那覇西(沖縄)との1回戦を、千葉・フクダ電子アリーナで迎える。過去5度の出場で未勝利のチームはまず、冬の全国初勝利を狙う。

 明るい日差しに新潟明訓の赤いユニホームが映える。選手たちの表情も、開会式の雰囲気を楽しむように明るかった。しかし、気持ちの中はすでにキックオフへ秒読み段階に入っていた。開会式の入場行進で1歩1歩、競技場のピッチを踏み締めるうちにメンバーの闘志も1段1段上がっていく。FW田辺大智(3年)は「気持ちが高ぶる」と言った。

 「やることはやったので、思い切りやるだけ。大丈夫です」と田中健二監督(38)は話した。11、13日にはプレミアリーグ参入戦(広島)に出場。選手権直前に経験した真剣勝負の公式戦は、絶好の助走になった。

 プリンスリーグ北信越2位チームとして出場し、1回戦は尚志(東北1位=福島)に3-2。プレミアリーグ昇格をかけて臨んだ横浜ユース(関東1位)戦は0-3で敗れたが、真正面からぶつかって前半は0-0だった。「想像以上に戦えた。自信になっていると思う」と指揮官は言った。

 新潟明訓は64年度に全国選手権初出場した県高校サッカー界の草分け的存在。夏は11年のインターハイで県勢最高タイのベスト8に入っているが、選手権では過去5戦5敗だ。OBの田中監督も、95年度の3年時に左サイドハーフとして出場。初戦で神戸弘陵に0-4で敗れている。

 そんな未勝利記録を今年のチームが止める。那覇西に勝つと、2回戦ではインターハイ優勝校・東福岡との対戦が濃厚だが、メンバーは臆していない。「歴史に名を残す結果を出したい。新潟は強いぞ、と思ってもらえるように成長したい」。加藤潤主将(3年)の言葉は力強かった。【涌井幹雄】