国学院久我山(東京A)が前橋育英に1-0で競り勝ち、7度目の出場で初の4強に進出した。

 前半から、持ち味の少ないタッチ数でのパス回しで相手のプレスをかいくぐり、主導権を握る。前半終了間際、相手の決定機でGKが飛び出し、ゴールが無人になるも、MF宮原直央主将(3年)がゴール前をカバーし相手のシュートを阻止した。

 大ピンチを脱すると、0-0で迎えた後半12分、FW渋谷雅也(2年)のパスを右サイドで受けたFW内桶峻(3年)が中に切れ込みミドルシュート。ゴール右上に突き刺し先制する。終盤は、相手のロングボール主体の猛攻を受けるも、セカンドボールの的確な予測と、体を張ってゴール前のスペースを消す堅守で守りきった。

 新しい歴史を刻む試合終了のホイッスルと同時に、イレブンはガッツポーズした。メンバーはJのジュニアユースから上がれなかった選手が大半だ。一般受験で文武両道を目指し、門を叩いた選手もいる。今季から指揮を執る清水恭孝監督(43)は身長163センチのFW渋谷、167センチのMF名倉を例に挙げ「小柄だし(Jユースの)トップでは厳しいかもしれないが足元の技術は高い。私たちのサッカーをやるためには必要な選手」と話す。。

 国学院久我山サッカーの根幹は、前監督の李済華氏(現J3沖縄GM)が培ってきたパスサッカーだ。日常の練習は2時間と限られているが、パスとトラップの基本技術練習を徹底させている。夏の全国高校総体では、初戦に明徳義塾に逆転負け。清水監督は「このチームはメンタルの強さが課題」としていたが、総体直後の夏合宿で初めて坂道ダッシュなど厳しいメニューを取り組み、欠けていた「粘り」が生まれた。1点を守りきる集中力も、夏から大きく成長した部分だ。

 前橋育英には7大会前、準々決勝で対戦し敗れていた。宮原主将は「素直に嬉しい。今年の久我山の良さは1点勝負で勝ちきること。そこが勝てた大きな要因」と振り返った。次戦は埼玉スタジアムで青森山田と対戦する。宮原主将は「中3日で最高の準備をして、目の前の準決勝に挑みたい」と話した。