ヤングパワーがさく裂し、柏が神戸に2-0と快勝した。先発平均年齢は22・91歳という「U-23(23歳以下)軍団」が躍動。前半15分にU-23日本代表MF山中亮輔(23)がJ1初ゴールとなる直接FKで先制すると、後半8分には同代表候補のMF伊東純也(23)が追加点。リーグ戦4連勝、公式戦6連勝となった。リーグ開幕5試合未勝利だったチームは、下平隆宏監督就任後にV字回復を果たし、4位まで浮上した。

 若い! 先発には11人中23歳以下のリオデジャネイロ五輪の有資格者が7人とズラリ並んだ。GK中村、DF中谷、DF中山、MF伊東、MF山中、MF中川、MF小林。下平監督が「年齢は関係なく、たまたま若いだけ。調子のいい人を使っている」と自信を持って送り出した先発の平均年齢は何と…22・91歳。今季の先発平均年齢が2位の若さの福岡でも26歳で、3歳以上の差があった。

 若い力がリーグ4連勝を導いた。まず山中が魅せた。前半15分。約25メートルの位置から左足で放ったクロス性のボールは直接ゴールに吸い込まれた。J1初得点で「長い間待たせてしまった。これからもっと(点を)取り続けられるよう頑張りたい」と笑った。2点目も若い力が生んだ。21歳中川が前線にパスを送り起点を作ると、最後はこぼれ球を23歳伊東が押し込んだ。

 守っては21歳の守護神、中村の堅守もあり無失点だった。4試合連続完封はチーム初の快挙。若いからバテない。チームの平均走行距離はリーグ2位。最後まで運動量が落ちなかった。

 チーム内競争が相乗効果を生んでいる。山中は「僕より若い選手もたくさん出ている。責任感を持ってやらないといけない」。伊東も「年下が出ている。負けられないというのがある」と言う。他のチームでは若手でも柏では勝手が違う。

 ユースからの継続性が好調の要因だ。第3節磐田戦後にメンデス前監督が電撃辞任し、後任となった下平監督は、10~15年に指揮していた柏ユース同様「ボールを保持するサッカー」を掲げた。この日の先発8人が柏ユース出身。慣れ親しんだサッカーに戻したことで、下平体制後はリーグ戦無傷の6戦4勝。中谷は「昔からやっているサッカーとメンバー。あうんの呼吸、安心感がある」と話す。

 メンデス監督辞任時は1分け2敗の17位と泥沼だったが、4位まで急上昇。勝ち点は15。顔なじみばかりの若武者軍団は、さらなる反攻を狙う。【上田悠太】

 ▼連続試合完封勝ち 柏がJ1リーグ戦で4試合連続完封勝利。過去に0-0の引き分けを挟んでの4試合連続無失点は11年の11~14節に記録しているが、4試合連続無失点勝利はクラブ史上初。J1の連続試合完封勝利記録は93年の清水(PK勝ち1含む)と96年の横浜F(現在消滅)がマークした6試合連続。連続試合無失点は14年の浦和の7試合連続が1位。

 ◆今節のJ1各チームのスタメン平均年齢 柏の神戸戦での先発11人の平均年齢は22・91歳。4月29、30日のJ1第1ステージ9節の各クラブと比較すると最も若かった。2番目が福岡の26・00歳。「U-23」(23歳以下)は柏だけ。昨季の第1ステージ神戸戦での柏は27・00歳で、この試合と今回の2戦ともに先発は24歳の茨田と25歳の武富だけだった。なお、J1史上最年少スタメンは平塚(現湘南)が99年11月27日の磐田戦で記録した平均20・91歳。DF茂庭、FW小松原ら10代の選手が6人も先発した。