仙台はアウェーで湘南を1-0で下し、2戦ぶりの白星を挙げた。スコアレスで折り返した後半31分に、途中出場のMF奥埜博亮(26)が左足でゴールを決め、この1点を守りきり完封勝ちを収めた。値千金の決勝弾は、この一戦でJ1通算200試合出場を達成したMF梁勇基(34)のクロスから生まれたもの。渡辺晋監督(42)も「勝ち点3を持ち帰れることができ自信になった。これを残りの5月攻勢につなげていく」と巻き返しを誓った。

 チャンスを逃さなかった。0-0の後半31分。奥埜から始まったカウンター攻撃。つないだボールが敵陣を駆け抜けると、MF梁が左クロスを上げる。それをFW野沢が見送った先に待ち構えていた奥埜が「落ち着いて」トラップし、左足を振り抜いた。緩やかな弧を描きながらゴール左隅へ吸い込まれた決勝弾。「あのカウンターがチャンスだと思った。ニアへ蹴ろうかとも思ったが、顔を上げたらコースが見えたので流し込みました」。

 途中出場からわずか6分で結果を出した。この日は先発を外れたが、指揮官からは「調子も良いのにスタメンで使えなくて申し訳ない。アシストやゴールが欲しい。分かってくれ」と伝えられていた。期待を背負いながら、今季ここまで1得点と大きな結果は出せずにいたのも事実。「スタメンの人たちがやばいと思うくらいのプレーをしたい。見える結果を残したいとずっとやってきた。今日は決められて良かった」とホッとした表情を見せた。

 この日はMF梁のメモリアルゲーム。J1通算200戦目を迎えた先輩からのパスを得点に結ぶ最高の形で祝福した。「梁さんは下部組織の時からずっと見ていて目標にしている選手。一緒にサッカーをやれることは僕の財産」という程の存在だ。だがゴール直後はMF富田、三田、ハモン・ロペスらにもみくちゃにされ「忙しかった」(奥埜)。梁は試合後「良いこと言う割に抱きつきに来なかったな(笑い)」と寂しがっていた? が仙台を引っ張り続けてきたエースと未来を託されるFWの見事な共演で勝利をたぐり寄せた。梁は「やろうとしてる形の1つが出せた。こういう形で続けていけたら」と手応えを示し、奥埜は「(梁の記録を)勝利で祝えて良かった」と笑顔だった。【成田光季】