J2清水は3-0で横浜FCに快勝し、2季ぶりのホーム連勝を飾った。前半37分にMF枝村匠馬(29)が先制点。後半はMF村田和哉(27)が2得点した。肋骨(ろっこつ)4本骨折で長期離脱のエース大前元紀主将(26)の無念を思い、選手が奮起。最近4試合で3勝1分けとし、前節9位から7位に浮上した。首位岡山との勝ち点差は5で、J1復帰に向けて上昇ムードになってきた。

 「元紀」が不在でも清水は「元気」だった。前半37分、MF河井陽介(26)の低いクロスをMF枝村が左足ダイレクトで合わせて、先制点。クラブ生え抜きの今季初ゴールでリードを奪った。「(相手DF)の股が開いていたのは見えていました」。

 後半は相手に押し込まれる時間帯もあった。だが、大前の代わりにキャンプマークを巻いたDF犬飼智也(23)を中心に堅守を続けた。そして、同30分から出場の村田がすぐに輝いた。同31分、右サイドでファーストタッチをするや、ドリブルで中央へ進入。「迷いはなかった」と左足を振り抜き、ネットを揺らした。同45分には、右足でもう1点奪った。「元紀の穴を埋める存在になりたかった。これでいい報告ができる」。

 リーグトップの12得点を挙げていた大前が、前節町田戦で負傷。肋骨4本骨折、肺挫傷の重傷を負い、現在も搬送先の病院に入院している。その無念を思い試合前、村田は大前にLINE(ライン)で連絡。「攻撃を引っ張るのは和哉だから」とメッセージを受けていた。

 小林伸二監督(55)もこの日、ミーティングで選手に伝えていた。「この状況をみんなで変えていくしかない」。今季は大前以外にも、DF鎌田翔雅(26)FWデューク(25)が負傷で長期離脱。ケガ人が出るたびにチームを鼓舞していた大前までも離脱した状況下、選手の意識は「けが人のためにやろう」で一致。ベンチには大前のユニホームを掲げた。サポーターも気持ちは同じだ。試合前、ホーム側スタンドに、大前の背番号「10」を記したビッグフラッグが飾られた。

 チームは今季初の上昇ムードだ。先月28日の群馬戦から4試合で勝ち点10を上積み。千葉、山口、岡山と続く上位勢との3連戦に弾みをつけた。犬飼は「1戦1戦大事にして上位に食い込みたい」と言い、村田も「上位チームを追って、最終的には優勝を目指します」と宣言した。ピンチはチャンス。清水の逆襲が始まった。【神谷亮磨】