主将の“ハッスルタイム弾”で首位キープ! J2札幌は北九州に1-0で勝利し2連勝となった。0-0の前半46分にMF宮沢裕樹(26)が今季初得点を決め、この1点を守りきった。チームで最も得点が多い前半31分から同終了までの「確変時間帯」で今季リーグトップの10点目。5戦ぶり完封勝利につなげた。本拠札幌ドームでは15戦不敗とクラブ記録も更新。12勝3分け3敗、勝ち点39で首位を守った。

 バットマン宮沢が苦しむチームを救った。前半46分、FW内村からの縦パスを受けたFW都倉がドリブル突破。FWヘイス目がけた左クロスは1度、DFにクリアされるも、10番は、このこぼれを狙っていた。ワンバウンドしたボールをしっかり右足ボレーでとらえると、シュートは相手GK鈴木の手をはじき、ゴールネットに吸い込まれた。

 「チームとしてうまくいかない中でワンチャンスを決められて良かった」。前半23分、深井とのパス交換を読まれ、カウンターから、ゴール前まで運ばれた。「ボールロストの仕方が悪く、つかまってしまったのは良くなかった」。ゴールラインぎりぎりのところで失点を防いだ後、持ち直しての貴重な決勝弾だった。

 この日、GK杉山がアキレス腱(けん)断裂で手術を受けたことが発表された。4日千葉戦で右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂したMF稲本に続く離脱に「一緒に戦ってきた仲間がケガして残念。その人たちの分まで戦っていきたい」と前を向いた。

 フェースガードの怖さを知った90分だった。13日の長崎戦から、骨折した鼻骨防護のため着用。この日が2試合連続の着用だった。11年8月に1度経験も、5年ぶりで記憶は薄れていた。「得点場面は浮き球だったから問題ないが、足元のボールは顔を向けて見ないといけない。深井のパスが取られたときは、もっと首を振らないといけなかった」。着用しての2戦連続出場は初体験で、制限される視野に関し、相応の対応が不可欠と気付かされた。

 ハンディを越えての新主将1号。ホームで新主将が初得点したのは07年芳賀、11年河合以来5年ぶり3人目で、J1昇格100%の吉兆データがある。しかも前半終了間際の得意の時間帯で先制して逃げ切る手堅い試合運びも戻ってきた。ここから再び連勝街道を突き進み、離脱した先輩たちも一緒に、J1へと連れて行く。【永野高輔】