暑い夏はブラジル人に任せろ! 仙台は敵地で福岡と対戦し、1-1で引き分けた。前半36分にFWウイルソン(31)が4年ぶりの3戦連発となる先制点を挙げるも、後半12分に失点。今季2度目の3連勝は逃したが、アウェーで勝ち点1をつかんだ。気温29度のピッチで途中から選手の足が止まる中、後半30分に7月から新加入したMFパブロ・ジオゴ(23)がリーグ戦デビューとなる途中出場。持ち味の突破力を見せ、暑さが厳しくなる8月の戦いへ弾みをつけた。

 立っているだけで汗がしたたり落ちる福岡の夜でも、頼りになるのはこの男だった。FWウイルソン。キレが違った。前半36分、右サイドから細かいパスをつなぎ福岡DFを崩す。最後はMF奥埜からのパスをダイレクトで右足でズドン。爽快なゴールは実に自身4年ぶりの3戦連発弾となった。「欲しかったのは勝ち点3だけど、全体的にいい日だった。コンビネーションの練習をしてきて、試合で結果が出たのはチームが上昇中というのを示している」と笑みがこぼれた。

 もう1人、チームに勢いをもたらした男がいる。MFパブロ・ジオゴ。独特のヘアスタイルだけでなく、その加速力で目を引いた。後半30分からデビューとなる途中出場を果たすと、一陣の風のようにピッチを切り裂いた。DF陣を置き去り、好パスをウイルソンに供給。「入った時間の試合状況的に得意の個人技が仕掛けられなかったが、パスができたのは良かった」と満足げに振り返った。

 強さのキーワードは暑さだ。後半、仙台の日本人選手の足が止まった。涼しい仙台と違い、風も少なく、蒸し暑い試合。しかし「チームの足が止まった感じがあった。スローイングからの失点が残念」(ウイルソン)、「ブラジルでは暑い中やった。チームは暑さを感じたろうが、自分は問題ない」(パブロ)とどこ吹く風。FWハモン・ロペスと合わせたブラジル人3人の動きはスパイスとなる。

 勝ち点3こそ逃したものの、明るい材料が見えた一戦。渡辺監督も「アウェーの暑い福岡で勝ち点1を取れたのはポジティブに取りたい」と評価。パブロについても「単独でボールを運んで、推進力を見せてくれた。個人の特徴を表現してくれた」とほめた。暑い8月を迎え、気温上昇とともにブラジル人選手が上昇気流を生む。【島根純】