J2札幌は町田を3-2で下した。先発では初めて左MFで出場したジュリーニョ(30)が2ゴール1アシストの活躍で、リーグ戦采配50戦目の四方田修平監督(43)に白星を贈った。22勝7分け4敗の勝ち点73で首位をキープ。残り9戦で自動昇格対象の3位C大阪と勝ち点10差、プレーオフ(PO)対象7位横浜FCとは同26差となった。次節10月2日北九州戦の結果次第で6位以上が確定する。

 くすぶりかけた思いを発散させた。0-0の前半4分、MFジュリーニョは、中央からFWヘイスへの縦パスで先制ゴールをアシスト。同19分には、DF福森の右CKのこぼれ球をヘッドで押し込んだ。「ヘイスがニアで競ってくれたから、うまくこぼれてきたよ」。7月31日山口戦以来8戦ぶりのゴールでスイッチを入れると後半、さらに畳みかけた。

 2-1と1点差に詰められた同29分、FW都倉がドリブル突破してこぼれた球に反応した。ペナルティーエリア外から左足を振り抜くと、ゴール左に突き刺さり、結果的にこの3点目が勝利を決めた。チーム単独2位となる2ケタ10点に到達し「バウンドしていたので、うまくミートできた。勝利に貢献できてうれしいよ」と喜んだ。

 50戦目を迎えた指揮官の思いきった采配に応えた。前回アウェーは0-2で敗れた町田との対戦。四方田監督は「これまで守備の不安があったが、彼の攻撃力を、何とかこのへんで生かせるかなとトライした」と積極策に出た。ジュリーニョの先発サイド起用は、沖縄合宿で試して以降、苦手な守備面を考慮し封印していた。だが、相手の堅い守備をこじ開けるため、あえて挑んだ結果、アクセントになり、3発を生み出した。

 5月までは得点源として活躍も、ヘイスの調子が上がり出した6月以降、点を決めた次の試合でも先発から外れることが増えた。「どうして俺を使ってくれないんだ」とスタッフにぼやいたこともあった。中央でボールがおさまるタイプのヘイスと、突進型でサイドからでも1発があるジュリーニョ。互いの良さを同時に生かす四方田流オペで、新たな武器が誕生した。

 チームとしても昨季からホーム22戦無敗と、クラブ記録を更新。「ここはマイホーム。勝ち続けてタイトルをつかみたい」。あらたな可能性を広げた7番を効果的に使い、一気にJ1をたぐり寄せる。【永野高輔】