来季の川崎F入団が内定しているDFタビナス・ジェファーソン主将(3年)の所属する桐光学園が、苦しみながら2年連続10度目の全国切符を手にした。延長後半7分、相手ボールをカットしたFW西川公基(3年)がそのままボールを持ち込み決勝ゴール。初出場を目指し、大健闘の相洋を1-0と振り切った。

 4バックの左サイドバックでプレーするタビナス主将は躍動感あふれるプレーで、その存在感を見せつけた。前半20分には相手クロスボールが左に流れたところを拾うと、左サイドを一気に加速してドリブルでボールを運んだ。同31分には細かなパス交換からシュートを放ったが、相手GKの好セーブにゴールは阻まれた。

 後半32分には相手のカウンター攻撃に襲われると、スライディングタックルで素早くボールをカット。その後も182センチの長身を生かした打点の高いヘディングでロングボールをはね返すなど、攻守にわたってスケールの大きな動きを披露した。左サイドを大きなストライドで一気にオーバーラップする姿は、かつてジーコジャパンで活躍した三都主を思い起こさせた。

 ガーナ人の父とフィリピン人の母を持つ。前回の全国選手権で活躍し、高校選抜入り。今年は多くのJ1クラブからラブコールを受け、来季の川崎F入団が内定している逸材だ。東京生まれだが、現在はフィリピン国籍。20歳になったら日本国籍が取得可能となるため、2020年東京五輪の秘密兵器とも目されている。

 全国切符を手にしたタビナス主将は「まだ何もしていない。満足せずに頂点を目指す」ときっぱり。前回の全国選手権では、現U-19(19歳以下)日本代表FW小川航基(磐田)を擁しながら3回戦で青森山田にPK戦負け。その悔しさを知るだけに「昨年の忘れ物を取りにいきます」と付け加えた。

 試合後は仲間と歓喜の余韻に浸りながらピッチで記念撮影した。陽気なキャラクターでチームを引っ張る主将は、白い歯を見せながら「全国のてっぺん取ろうぜ!」「ハイ、レボリューション!」と満面の笑みで掛け声。正月の全国選手権でも、タビナス旋風を予感させた。